【40代教員の退職カウントダウン211:退職まで残り2年6か月】
はじめに
「大学に行くには、結局いくらかかるんだろう?」
高校生の息子たちの大学進学を考えるようになってから、私自身もかなり気になるようになりました。
大学の学費が高いことは知っています。
でも、大手予備校の大学入試に関する講義を聞いてみると、大学受験では、授業料以外にも想像以上にいろいろなお金が動くことが分かりました。
受験料。交通費。宿泊費。入学金。前期授業料。そして下宿するなら、家賃や引っ越し費用。
さらに注意が必要なのが、第一志望の結果が出る前に、別の大学へまとまったお金を納めなければならない場合があるということです。
シリーズ「進路指導ができる教員になろう」。
第6回は、大学受験と進学にかかる「お金」について考えてみます。
進路指導をするなら、あるいは子を持つ保護者なら、大学進学にはどんなタイミングで、どんなお金が必要になるのかくらいは知っておきたいと思います。
私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯】
シリーズ最初の記事はこちら【大学入試は私たちの頃とこんなに違う――教員が知っておきたい現在の大学受験】

国立大学なら4年間で約240万円
まず、大学の学費から見てみます。
国立大学の授業料の標準額は、年間53万5,800円、入学料は、28万2,000円です。
単純に4年間で計算すると、授業料が約214万円。
そこに入学料を加えて、約243万円となります。
もちろん大学によって授業料が標準額と異なる場合もありますし、教科書や実習費なども別に必要になります。
それでも、「国立大学の学費は4年間でおおよそ250万円前後」という感覚を持っておくとよさそうです。
講義でも、国公立大学は私立大学に比べ、学費面でのメリットがかなり大きいという話がありました。

私立大学は学部によって大きく違う
一方、私立大学は学部によってかなり差があります。
文部科学省の2025年度調査では、私立大学学部の初年度学生納付金等の平均は、約151万円とのことでした。
内訳を見ると、
授業料 約96万8,000円
入学料 約24万円
施設設備費など 約17万円
などとなっています。もちろんこれは全学部の平均です。
文系と理系では違いますし、医歯系になるとさらに大きくなります。
だから、「私立大学なら4年間で○○万円」と一括りにはできません。
大学を検討するときには、偏差値やカリキュラムと同時に、実際に4年間でいくら必要なのかも確認する必要があります。

学費だけを比べても大学進学費用は分からない
ここで一つ注意したいことがあります。
大学進学にかかる費用は、大学に納めるお金だけではないということです。
日本学生支援機構の学生生活調査を見ると、大学学部昼間部の学生生活費は、自宅通学とアパートなどで生活する学生ではかなり違います。
2022年度調査では、全国平均で、自宅通学 年間約164万円に対し、アパート等 年間約212万円でした。年間で約48万円の差があります。
この「学生生活費」には学費だけでなく、食費、住居・光熱費、通学費なども含まれています。
つまり、どの大学へ行くかだけでなく、どこから通うかによっても家計への負担は大きく変わります。

「国立+下宿」と「私立+自宅」はどちらが安い?
大学選びでは、「国立大学は安い」「私立大学は高い」と単純に考えがちです。
しかし実際には、地元の私立大学へ自宅から通う。遠方の国立大学へ進学して一人暮らしする。
というケースがあります。
講師からも、「国公立だから必ず家庭の負担が小さいとは限らない」という話がありました。
逆に、多少授業料の高い私立大学でも、自宅から通えることで総額では負担を抑えられる場合があります。
進路を考えるときには、「学費」ではなく「大学生活全体でいくらかかるか」を見る必要があるのだと思います。

下宿すると最初にまとまったお金が必要
さらに、一人暮らしを始める場合には、毎月の生活費だけではありません。

入居時には、敷金や礼金、家具、家電、引っ越し費用などが必要になります。
つまり高校3年生の冬から春にかけては、入学手続き+引っ越し+新生活準備が一度にやってくる可能性があります。
保護者にとっては、かなり大きなお金が短期間に必要になる時期です。
意外な落とし穴が「入学手続き」
第一志望は国公立大学だが、その前に私立大学に合格した。というケースを考えます。
当然、「国公立に落ちた場合に備えて、私立大学を確保しておきたい」と考えます。
すると、その私立大学が指定する期限までに、入学金などを納付して入学手続きをする必要があります。
ところが、その時点では第一志望の国公立大学の結果が出ていないことがあります。
つまり、進学するかどうかまだ分からない大学に、先にお金を払う必要があるわけです。

講師によると、大学や入試方式によっては数十万円単位の資金が一時的に必要になることもあるとのことでした。
文部科学省も、最高裁判決を踏まえ、大学には一般に入学料を返還する義務がないとしています。近年はその負担を軽減するよう私立大学に対応を求める動きも出ていますが、実際の対応は大学によって異なるそうです。
だから、「辞退すれば後から返ってくるから大丈夫」と考えず、必要な金額を必ず募集要項や入学手続要項で確認する必要があります。
お金が「一時的に拘束される」ことも考えておく
また、見落とされがちなのが、もし最終的には返還されるお金だとしても、一時的には家庭から出ていくということには変わらないという点です。
例えば私立大学に合格し、入学金、前期授業料、施設費などを納める。
その後、第一志望の大学に合格して辞退する。
もし授業料等が返ってくるとしても、その返還までには時間がかかる場合があります。
その間に第一志望大学の入学手続きも始まります。
つまり、一時的に二つの大学へお金を用意しなければならない可能性があります。

講師はこの点を、「最終的な学費総額だけでなく、いつお金が必要になるのかも確認しておくことが大切」という趣旨で説明していました。
これは、私自身も高校生の親としてかなり重要な情報だと感じました。
「行ける大学」には学力だけでなく費用も関係する
実際の大学進学では、「合格できるか」と同じくらい、「通い続けられるか」も重要です。
学費はいくらか。
自宅から通えるか。
下宿なら年間どれくらい必要か。
入学時にはいくら用意するのか。
奨学金は利用できるか。
こうしたことを含めて考えて初めて、現実的な進路選択になります。
「4年間通うとすると、どんな生活になるんだろう?」まで家族で考える。これも進路選択の重要なファクターの一つなのだと思います。

お金の話をすることは、夢を狭めることではない
「大学進学にいくらかかるか」
という話をすると、子どもの夢に現実を突きつけるようで、少し言いにくいことがあります。
でも私は、今回の講義を聞いて逆だと感じました。
お金のことを早く知るからこそ、準備できる。
そうすることで、「お金がないから突然諦める」という状況を減らせるかもしれません。
私自身、お金の勉強をする中で子どもの進学費用はジュニアNISAという投資制度を活用し、準備してきました。

何年も前から計画的に投資で準備してきたので、子どもがどんな選択肢を示してもなんとか賄える金額まで増やすことができています。
【教員の金融教養シリーズ総まとめ 金融教育ができる教員になるために学んだこと】

ジュニアNISA自体は現在は申し込みできませんが、新たに子どもNISAという制度も始まります。こういった投資優遇制度を活用して大学資金を準備するのは悪い手ではないと思っています。
このブログでは、先生方に使いやすい証券口座として楽天証券をお勧めしています。もちろん楽天証券は子どもNISA口座の活用ができます。
【教員こそ証券口座を持っておいた方がいいと思う理由【初心者におすすめする証券口座】】

いずれにしても「大学進学には、受験前後にすぐにまとまったお金が必要になることがある」という知識は持っておくことが大切だと思います。
大学選びは、「何を学びたいか」「どこなら合格できそうか」だけではありません。
「資金面も含めて、そこで4年間生活できるか」まで含めて考える。そんな視点も、教員・保護者として持っておきたいと思います。
次回は、
「大学出願はもうデジタル――Web出願で高校生がつまずくポイント」
について考えてみたいと思います。
※本記事は、大手予備校が主催する大学入試に関する講義で学んだ内容をもとに、教員の立場から整理したものです。学費や入学手続き、返還条件、奨学金制度等は大学や年度によって異なります。実際の進路選択では、各大学の最新の募集要項・入学手続要項や、日本学生支援機構等の公式情報をご確認ください。


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