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進路指導ができる教員になろう――子どもの可能性を狭めないために先生が知っておきたい10のこと

まとめ記事

【40代教員の退職カウントダウン215:退職まで残り2年7か月】

  1. はじめに
  2. そもそも進路指導とは何だろう
  3. 1.経験や思い込みだけで進路を語らない
    1. ① 書籍『エビデンスで子育て』――進路指導・学級経営・保護者対応に“科学の視点”を
  4. 2.子どもの所属や診断名だけで将来を決めない
    1. ② 特別支援学級に入ると進路は閉ざされる?――ASDと知的障がいの進路のリアル
  5. 3.知っておきたい現在の大学入試
    1. ③ 大学入試は私たちの頃とこんなに違う――教員がまず知っておきたい現在の大学受験
    2. ④ 「推薦なら楽」はもう古い?――総合型・学校推薦型・一般選抜を教員が理解する
    3. ⑤ 共通テストはなぜ難しく感じるのか――「知っている」から「使える」学力へ
  6. 4.「入れる大学」ではなく「学びたい大学」を探す
    1. ⑥ 偏差値だけで大学を選ばない――AP・CP・DPとST比から考える大学選び
    2. ⑦ 模試E判定で「無理」と言ってはいけない――進路指導で模試をどう見るか
  7. 5.進学を現実にするために知っておきたいこと
    1. ⑧ 大学受験にはいくらかかる?――学費・下宿・入学手続きまで教員も知っておこう
    2. ⑨ 大学出願はもうデジタル――Web出願で高校生がつまずくポイント
    3. ⑩ 英検はいつ取る?――大学入試で広がる英語外部検定の活用
  8. 10の記事に共通していること
  9. 小学校から進路指導は始まっている

はじめに

「進路指導」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。

中学校で志望高校を決めること。高校で志望大学を決めること。模試の結果を見ながら、「この学校なら合格できそう」と相談すること。

もちろん、それも進路指導です。

でも、私は最近、進路指導はそれだけではないと強く感じるようになりました。

私は長く教員をしていますが、「進路指導」について体系的に学ぶ機会は、意外と多くありませんでした。

一方で、私には現在、高校生の息子が2人います。

息子たちの大学進学が現実のものとなり、保護者として大学入試について調べたり、大手予備校が主催する大学入試の講義を聞いたりするようになりました。

大手予備校が主催する大学入試の講義を聞いたりする

そこで、「今の大学入試は、自分たちが受験した頃とはかなり違う」と感じることが何度もありました。

そして同時に、「これは保護者だけでなく、教員としても知っておくべきだった」と思うことがいくつもありました。

進路には本当に多くの情報が関係します。そこで、これまでこのブログで少しずつ、「進路指導ができる教員になろう」という視点から記事を書いてきました。

今回は、それらをまとめます。

私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯


そもそも進路指導とは何だろう

進路指導とは、教師や親が子どもの進路を決めてあげることではないと思っています。

子ども自身が、「自分は何が好きなのか」「何を学びたいのか」「どんな生き方をしたいのか」を考え、そのために必要な情報を集め、自分で選択する。

大人は、その過程を支える存在です。

言い換えるなら、進路指導とは、子どもが自分で選択するために、必要な情報を一緒に整理すること。

そのためには、大人にもある程度の知識が必要です。

「知らないから、自分が受験した頃の経験だけで話す」ことは避けたいです。

「知らないから、自分が受験した頃の経験だけで話す」ことは避けたいです。

そんな思いで、これまで記事を書いてきました。

ここからは、進路指導について考えるうえで、特に読んでほしい10の記事をテーマ別に紹介します。


1.経験や思い込みだけで進路を語らない

① 書籍『エビデンスで子育て』――進路指導・学級経営・保護者対応に“科学の視点”を

書籍『エビデンスで子育て』――進路指導・学級経営・保護者対応に“科学の視点”を

進路指導をするとき、私たち教員はどうしても、「自分の経験」をもとに話してしまいます。

「自分の頃はこうだった」「これまで見てきた子はこうだった」

もちろん、経験は大切です。

でも、経験だけでは見えないこともあります。

この本では、

「第一志望に進学できた子と、第二志望に進学した子では、その後にどれくらい差があるのか」

「学力を伸ばす要因には何があるのか」

などを、データをもとに考えます。

進路指導だけでなく、学級経営や保護者対応にも通じる内容です。

「私はこう思う」だけではなく、「データではどうなのか」と考える。教員として持っておきたい視点だと思います。

▶【書籍『エビデンスで子育て』──進路指導・学級経営・保護者対応に“科学の視点”を


2.子どもの所属や診断名だけで将来を決めない

② 特別支援学級に入ると進路は閉ざされる?――ASDと知的障がいの進路のリアル

ASDと知的障がいの進路のリアル

特別支援教育に関わっていると、「特別支援学級に入ると、将来の選択肢が狭くなってしまうのでは?」と心配する保護者に出会うことがあります。

しかし、特別支援学級に在籍すること自体が、将来の進路を決めるわけではなくさまざまなものを考えながら進路を考える必要があります。

特に注意したいのは、「特別支援学級だから、この進路」と親や教師側が早い段階で決めてしまうことです。

▶【特別支援学級に入ると進路は閉ざされる? 〜ASDと知的障がいの進路のリアル〜


3.知っておきたい現在の大学入試

ここからは、現在の大学入試についてです。

私自身、高校生の息子たちの受験をきっかけに調べるまで、かなり古いイメージを持っていました。

同じような先生もいるのではないでしょうか。息子の進路のために参加した大手予備校の講義に基づいた最新の大学受験事情を記事にまとめました。

知っておきたい現在の大学入試

③ 大学入試は私たちの頃とこんなに違う――教員がまず知っておきたい現在の大学受験

現在の大学入試は、私たち教員や保護者世代が受験した頃とはかなり変わっています。

一つ一つを詳しく知る前に、ざっくりと「今の大学入試全体がどうなっているのか」を整理した記事です。

このシリーズを大学入試から読み始めるなら、まずこの記事から読んでもらうのが一番分かりやすいと思います。

▶【大学入試は私たちの頃とこんなに違う――教員が知っておきたい現在の大学受験

大学入試は私たちの頃とこんなに違う――教員が知っておきたい現在の大学受験

④ 「推薦なら楽」はもう古い?――総合型・学校推薦型・一般選抜を教員が理解する

「推薦なら早く決まる」「推薦なら一般入試より楽」

そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。

しかし現在の総合型選抜や学校推薦型選抜では、小論文やプレゼン、面接や口頭試問に加えて学力試験など、さまざまな方法で受験生を評価します。

準備にはかなり時間がかかる場合もあるそうです。

大切なのは、どの入試が一番楽かではなく、その子の強みをどの入試なら生かせるか。

入試方式を理解しておくことは、子どもの選択肢を増やすことにつながります。

▶【「推薦なら楽」はもう古い?―総合型・学校推薦型・一般選抜を教員が理解する

どの入試が一番楽かではなく、その子の強みをどの入試なら生かせるか。

⑤ 共通テストはなぜ難しく感じるのか――「知っている」から「使える」学力へ

現在の共通テストでは、「知識を覚えているか」だけでなく、その知識を使えるかが問われます。

複数の資料を読む、グラフを比較する、条件を整理する、知っていることを別の場面に当てはめる。様々な力が求められます。

現在の共通テストでは、「知識を覚えているか」だけでなく、その知識を使えるかが問われます

大手予備校の講義を聞いていて、「これは大学入試だけの話ではない」と感じました。

小学校や中学校でも大切にしている、「思考力・判断力・表現力」「知識を活用する力」につながっているからです。

大学入試を知ることで、普段の授業を見る目も少し変わるかもしれません。

▶【共通テストとセンター試験の違い―「知っている」から「使える」学力へ


4.「入れる大学」ではなく「学びたい大学」を探す

「入れる大学」ではなく「学びたい大学」を探す

入試制度を理解した次に考えたいのが、どの大学を選ぶのかです。

ここでも、偏差値だけで判断しないことが重要です。


⑥ 偏差値だけで大学を選ばない――AP・CP・DPとST比から考える大学選び

偏差値は大学入試の難易度を知るためには便利な数字です。

でも、入学してから何を学ぶのかは分かりません。

そこで知っておきたいのが、

AP(アドミッション・ポリシー)

CP(カリキュラム・ポリシー)

DP(ディプロマ・ポリシー)

という大学の「3つのポリシー」です。

さらに、ST比、研究室、ゼミ、教員、授業内容、卒業後の進路などを見ることで、

「この大学でどんな4年間を過ごすのか」が少し見えてきます。

「どこなら受かる?」だけでなく、「そこで何を学びたい?」と問いかけたいと思います。

▶【偏差値だけで大学を選ばない――AP・CP・DPとST比から考える大学選び

「どこなら受かる?」だけでなく、「そこで何を学びたい?」と問いかけたいと思います。

⑦ 模試E判定で「無理」と言ってはいけない――進路指導で模試をどう見るか

模試でE判定。それを見ると、「この大学は無理なのでは?」と思ってしまいます。

しかし、模試判定は合否そのものではありません。

あくまで、その時点での現在地です。E判定なら、現状では厳しいという「情報」です。

「Eだから無理」と、「今はかなり距離がある」は違います。

つまり模試を、「可能性を閉じる材料」ではなく「次の作戦を考える材料」にする。

大人が持っておきたい視点です。

▶【模試E判定で「無理」と言ってはいけない――進路指導で模試をどう見るか

「可能性を閉じる材料」ではなく「次の作戦を考える材料」にする。

5.進学を現実にするために知っておきたいこと

進路は「行きたい大学」を決めれば終わりではありません。

実際に受験し、入学し、生活するためには、かなり現実的な知識も必要です。


⑧ 大学受験にはいくらかかる?――学費・下宿・入学手続きまで教員も知っておこう

大学進学には、受験料、入学金、授業料、下宿費用、交通費、新生活の準備費用など、さまざまなお金がかかります。

大学進学には、受験料、入学金、授業料、下宿費用、交通費、新生活の準備費用など、さまざまなお金がかかります

特に注意したいのが、第一志望の結果が出る前に、他大学の入学手続き費用を納める場合があることです。

最終的な学費だけでなく、「いつ、いくら必要になるのか」を考えることも大切です。

もちろん、教師が家庭の経済状況を勝手に判断してはいけません。

でも、「こういう費用が必要になる可能性があります」と情報を示すことはできます。

▶【大学受験にはいくらかかる?――学費・下宿・入学手続きまで知っておこう

第一志望の結果が出る前に、他大学の入学手続き費用を納める場合がある

⑨ 大学出願はもうデジタル――Web出願で高校生がつまずくポイント

これは私自身、高校生の長男と共通テストのWeb出願をした経験から書いた記事です。

実際にやってみると、顔写真や受験科目、検定料の支払いや必要書類、受験票など、確認すべきことがかなりありました。

Web出願は、かなり実践的な情報活用能力を必要とします。進路実現に必要な力の一つで、我々が子どもたちに育んでおきたい力です。

▶【大学出願はもうデジタル―Web出願で高校生がつまずくポイント

Web出願は、かなり実践的な情報活用能力を必要とします

⑩ 英検はいつ取る?――大学入試で広がる英語外部検定の活用

英検などの英語外部検定は、現在の大学入試でさまざまな使われ方をしています。

出願資格、得点換算、英語試験の免除やみなし得点、総合型・推薦での評価材料。

そして注意したいのが、「英検○級」だけではなくCSEスコアを見る大学もあることです。

大手予備校の講義では、できれば高校1・2年生のうちから挑戦しておくとよい、という話もありました。

ただし、「とりあえず英検を取ればいい」わけではありません。

まず、志望大学で英検がどう使われるのかを調べる。そのうえで必要な級やスコアを考えることが大切です。

▶【英検はいつ取る?――大学入試で広がる英語外部検定の活用

志望大学で英検がどう使われるのかを調べる。そのうえで必要な級やスコアを考えることが大切です。

10の記事に共通していること

ここまで10の記事を紹介してきました。扱っているテーマはかなり違います。

でも、私の中ではすべて一つにつながっています。それは、大人が子どもの可能性を先に決めないことです。

「特別支援学級だから」

「推薦だから」

「E判定だから」

「この家庭だから」

「偏差値がこのくらいだから」

そんな理由だけで、「あなたの進路はここまで」と決めてしまわない。

一方で、何でも、「大丈夫、大丈夫」と言えばよいわけでもありません。

現実を見ることも必要です。

様々な情報をきちんと集めたうえで、「では、どんな選択肢がある?」と一緒に考える。

それが進路指導なのだと思います。

様々な情報をきちんと集めたうえで、「では、どんな選択肢がある?」と一緒に考える。

小学校から進路指導は始まっている

「大学入試の記事が多いけれど、小学校の先生には関係ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。

でも私は、進路指導は小学校から始まっていると思っています。

もちろん、「どの大学に行きたい?」と小学生に聞くことではありません。

自分の好きなことに気付く。

得意なことを見つける。

苦手なこととも付き合う。

いろいろな職業や生き方を知る。

自分の考えを言葉にする。

「やってみたい」と思ったことに挑戦する。

そうした経験の積み重ねが、

やがて、

「自分はどんな高校に行きたい?」

「大学で何を学びたい?」

「どんな仕事をしたい?」

という問いにつながっていくのだと思います。

進路指導とは、高校3年生の受験指導だけではありません。

子どもが自分の人生を自分で選んでいくための土台をつくること。

そう考えると、小学校の教員にもできることはたくさんあります。

教師として、教務主任として、そんなことを考えました。

この10の記事が、「進路について相談されたけれど、何から考えればいいだろう」と悩む先生にとって、子どもの可能性を狭めないための、小さな道しるべになればうれしいです。

※大学入試制度、学費、選抜方法、資格利用条件などは年度や大学によって変更されます。実際の進路指導では、必ず大学・文部科学省・大学入試センター等が公表する最新の公式情報をご確認ください。

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