【40代教員の退職カウントダウン166:退職まで残り2年10か月】
はじめに:私たちは「説明できる子」を評価していないか
「どうしてそう思ったの?」
「理由まで説明してみよう」
日々の授業で、当たり前のように行っている指導です。
私自身も、子どもに“言語化”を求める場面は数えきれません。
しかし、ふと立ち止まって考えたいのです。
👉 その指導は、すべての子どもにとって適切なのか。
今回は教師にこそ読んでほしい本シリーズとしてテンプル・グランディン著の『ビジュアルシンカーの脳』を紹介します。

クラスにいる、なかなか理由を説明できない子、書きたいことは決まっているのに作文が書けない子はなぜ言語化できないのか?私自身、この本に出会って教育観が大きく変わりました。
私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯】
ビジュアルシンカーという存在
テンプル・グランディンの『ビジュアルシンカーの脳』では、「ビジュアルシンカー(視覚思考者)」という思考タイプが紹介されています。

ビジュアルシンカーは、言葉ではなく、
- 画像
- 映像
- 空間的なイメージ
で考える人たちです。
頭の中で“映像”を再生するように思考し、問題解決や創造に強みを発揮します。

「説明できない子」は、本当に理解していないのか
この本を読んで、強く考えさせられたのはここです。
ビジュアルシンカーの子どもは、
- 分かっているのに説明できない
- イメージはあるのに言葉にできない
ということが起こります。
それに対して私たちは、
👉「理解が浅いのでは?」
👉「もっと考えさせなければ」
と指導を重ねてしまいがちです。
しかし、それは、“思考の方法の違い”を見落としている可能性があるのです。

学校は「言語優位」の世界である
冷静に考えると、学校はかなり言語に偏っています。
- 作文
- 発表
- 記述問題
- 説明を求める授業
これらはすべて、「言語化できること」を前提とした評価です。

もし目の前の子どもがビジュアルシンカーだったらどうでしょうか。
👉 本来の力を発揮できない
👉 不必要な苦手意識をもつ
👉 評価されにくい
教師の善意が、結果として負担になっている可能性もあります。
「エモい」「ヤバい」をどう捉えるか
現場でよく感じる違和感の一つに、若者言葉があります。
「エモい」
「ヤバい」
つい、「語彙が乏しい」と感じてしまうこともあります。
しかしこの本の視点から見ると、少し違って見えてきます。
- 「エモい」=複雑な感情や情景を一瞬で共有する言葉
- 「ヤバい」=印象や評価を“イメージごと圧縮”した表現
つまりこれは、言葉の不足ではなく、イメージ共有型のコミュニケーションなのかもしれません。

今はビジュアルシンカーが活躍しやすい時代
かつては、本や新聞など、文字が中心の時代でした。
しかし現在は、
- スマートフォン
- 動画
- SNS
- 図解・インフォグラフィック
など、視覚情報が主役の時代になりつつマリます。
これはつまり、
👉 ビジュアルシンカーの強みが活きる時代
でもあります。

いかにエモい風景を言語化しようが、一枚の写真には敵いません。
いかに食事のおいしさを言語化しようが、美味しそうに食べる笑顔と、そこから発せられる「ヤバい(美味しい)」の一言には敵いません。
今はその風景写真や食べる瞬間の動画を簡単に送り合うことができる時代になりました。
学校だけが従来の「言語中心」にとどまっていてよいのか、考えさせられます。
教師にとってこの本を読む価値
『ビジュアルシンカーの脳』は、単なる脳科学の本ではありません。
教師が読む価値は大きく3つあります。
① 子どもの「できなさ」の見え方が変わる
→ 説明できない理由を“能力不足”と決めつけなくなる

② 評価の視点が広がる
→ 言語以外の表現にも目を向けられる

③ 指導の引き出しが増える
→ 描く・作る・見せるなど多様な学び方を意識できる

合わせて読みたい「先生方にぜひ読んでほしい本シリーズ」
私自身が実際に読んで、ぜひ先生方にもおすすめしたい本を集めました
【読書大好き教員が紹介!先生方にぜひ読んでほしい本シリーズ】

おわりに:子どもの思考は一つではない
教師は今の言語化を重視した教育の中で高い評価を受けてきた人たちです。
私たちはつい、「自分と同じように考えること」を前提にしてしまいます。
しかし実際には、
👉 言語で考える子もいれば
👉 イメージで考える子もいる
『ビジュアルシンカーの脳』は、その違いに気づかせてくれる一冊です。
そしてその気づきは、
👉 子どもの可能性を広げること
👉 不必要な苦しさを減らすこと
につながります。
もちろん、言語化を否定するつもりは全くありません。
ただ、子どもたちの思考方法の違いを理解することで教師の幅は広がります。
教師だからこそ、一度は読んでおきたい一冊ではないかと思います。



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