【40代教務主任の退職カウントダウン197:退職まで残り2年8ヶ月】
はじめに

今回は、面接官として多くの受験生と向き合う中で、「あと少しで、もっと伝わったのに。」と残念に感じたことについて書いてみたいと思います。
もちろん、この記事は特定の受験生について書いたものではありません。
また、実際の質問内容や評価方法など守秘義務に関わる内容にも触れません。
あくまで一日を通して感じた、「こうすればもっと魅力が伝わったのではないか。」という私自身の印象です。
私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯】
面接は「正解を答える試験」ではない
教員採用試験の面接というと、「模範解答を覚えなければ。」と考える人が少なくありません。

私も受験生の頃はそうでした。本を読み、インターネットで調べ、「この答えが正解らしい。」そんなことばかり考えていました。
でも、面接官席に座ってみると、その考えは少し違うように感じました。
教育には、一つしかない正解はほとんどありません。
子どもへの声掛けも、保護者対応も、学級経営も、状況によって答えは変わります。
だからこそ、面接で見たいと感じることは、「正しい答えを知っているか」ではなく、「その人はどう考える人なのか」なのだと思いました。

教育用語だけでは「その人」が見えない
最近はSNSやYouTubeのおかげで、採用試験対策はとても充実しています。
そのため、
主体的・対話的で深い学び
個別最適な学び
協働的な学び
インクルーシブ教育
ICT活用
こうした言葉は、多くの受験生が自然に使います。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。学校現場でも日常的に使う言葉です。
でも、それだけでは、その人自身が見えてきません。
例えば、「ICTを活用したいです。」という答えでも、どんな場面で、どんな子どもに、何のために。そこまで話せる人は、ぐっと印象に残ります。

教育用語は、ゴールではなく入口です。
自分の経験や考えと結び付けて初めて、その言葉に説得力が生まれるのだと思いました。
「一人で頑張ります」は、現場では少し心配になる
責任感は教師に欠かせません。
しかし、責任感が強すぎることが、時には心配につながることもあります。
例えば、「どんなことでも自分一人で解決します。」という答えのニュアンス。
受験生としては前向きな気持ちで話しているのでしょう。
でも、学校現場は、一人で仕事をする場所ではありません。
困ったときは学年で相談する。管理職に報告する。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携する。保護者とも協力する。

教師は、「助けてもらう力」も必要な仕事です。
実際に学校で働いていると、相談できる先生ほど、長く安心して働いています。
面接は「会話」であることを忘れないでほしい
受験生は、練習してきたことを全部話したくなります。

でも、面接官は、質問したことに答えてほしいと思っています。
例えば、「教師を目指した理由は何ですか。」と聞かれたら、その質問にまず答える。
そして必要に応じて経験を話す。この順番がとても大切です。
準備した文章を最後まで話そうとすると、質問とのズレが生まれてしまいます。
面接はスピーチではありません。会話です。
これは教員になってからも同じです。
保護者との面談も、職員室での相談も、子どもとの対話も、まず相手の話を聞き、その質問に答えることから始まります。それができる人はやはり好印象です。

緊張しても、人柄は伝わる
受験生は、「失敗したら終わり。」と思いがちです。
でも人は緊張するものです。
少し言葉が詰まる。言い直す。沈黙する。そういう場面は珍しくありませんでした。
私が印象に残ったのは、失敗しなかった人ではありません。
失敗しても、笑顔で話し直そうとした人。
「すみません、少し緊張しています。」と素直に伝えられた人。
そんな人には、誠実さが伝わってきました。

教師になってからも、失敗しない人はいません。大切なのは、立て直す力です。
教務主任として思う「伸びる先生」
教務主任という立場になると、毎年、新しく着任する先生と一緒に働きます。
そこで感じるのは、採用試験で話が上手だったであろう先生よりも、素直に学ぼうとする先生の方が、一年後には大きく成長していることが多いということです。
授業は、経験で上達します。
学級経営も、保護者対応も、最初から完璧な先生はいません。
だから私は、面接でも、「私はまだ未熟ですが、学び続けたいと思っています。」そんな姿勢が自然に伝わる人に魅力を感じました。

教師は、完成された人になる仕事ではなく、成長し続ける仕事なのだと思います。
面接で一番大切なのは「うまく話すこと」ではありません
若い先生から、「話すのが苦手だから教務主任や管理職には向いていません。」
と言われることがあります。
でも、学校で信頼される先生は、話が上手な先生ばかりではありません。
子どもの話を最後まで聞く先生。
保護者の思いを受け止められる先生。
同僚の相談に耳を傾けられる先生。
そんな先生が、結果的に学校で大きな信頼を集めています。

面接も同じではないでしょうか。
面接官が見ているのは、話術ではありません。
「この人は子どもや保護者、同僚と誠実に向き合える人だろうか。」ということなのだと思います。
おわりに
今回、初めて面接官を経験して改めて感じたことがあります。
教員採用試験の面接は、知識を競う場でも、話術を競う場でもありません。
「この人と一緒に学校をつくっていきたい。」
そう思える人かどうかを見極める場なのだと思います。
だからこそ、完璧な答えを探す必要はありません。
教育への思い。
子どもへのまなざし。
失敗しても学び続けようとする姿勢。
そうしたものは、短い面接の中でも自然と伝わってきます。
これから受験する皆さんには、模範解答を演じるのではなく、「自分はどんな教師になりたいのか。」それを自分の言葉で伝えてほしいと思います。
それが、面接官を経験した私から一番伝えたいメッセージです。


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