【40代教務主任の退職カウントダウン195:退職まで残り2年8ヶ月】
はじめに
2026年の夏休み、私は教務主任として初めて教員採用試験(二次試験)の面接官と模擬授業の監察官を担当しました。
私の自治体の教員採用試験の面接官は、主に公立学校の校長・教頭・主幹教諭の3名で構成されます。ただ、年度や会場によっては人数の都合などから教務主任が派遣されることもあり、今年度、私はその一人として参加する機会をいただきました。

もちろん、採用試験には守秘義務があります。そのため、試験内容や内部資料、評価方法の詳細についてお話しすることはできません。
一方で、一日を通して多くの受験生と向き合う中で、「これは受験生にぜひ伝えたい」と感じたことがたくさんありました。
インターネットには「実際の質問例」や「模範解答」は数多くあります。しかし、面接官席から見えた景色は、それらとは少し違っていました。
今回のシリーズでは守秘義務に十分配慮しながら、現役教務主任として初めて面接官を経験した私が、「面接官はどんな視点で受験生を見ているのか」「模擬授業で印象に残った受験生にはどんな共通点があったのか」についてお伝えしたいと思います。

私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯】
面接官は「落とそう」としているわけではない
最初に伝えたいのはこの言葉です。
受験生の中には、「何かと欠点を見つけられて落とされるのではないか」と不安に感じている人も多いと思います。

しかし、私が今回の面接を通して最も印象に残ったのは、そのイメージとは少し違うものでした。
面接官として説明を受ける中でも、受験生の欠点を探すのではなく、「学校現場で安心して一緒に働ける人材か」という視点を大切にしてほしい、という考え方が根底にあることが強く伝わってきました。
実際に面接が終わった後、他の面接官と受験生について意見交換をする場面でも、
「この人なら子どもを安心して任せられそうだ。」
「周りの先生とうまく連携できそうだ。」
「困ったときに一人で抱え込まず相談できそうだ。」
といった観点で話し合うことが多くありました。
教育現場は、一人で仕事をする職場ではありません。
困ったことがあれば学年や管理職、専門職と相談しながら、チームで子どもを支えていく仕事です。
だからこそ、面接官は「減点材料探し」をしているというより、「この人と一緒に働きたいと思えるか」という視点で受験生を見ているのだと実感しました。

完璧な答えより「考え方」が伝わる人が強い
私自身、面接では、
- なぜ教員を目指したのか
- いじめに気付いたらどうするか
- 保護者対応をどう考えるか
- ICTをどう活用するか
など、様々な質問をしました。
しかし、模範解答をそのまま話しているような受験生は意外と印象に残りませんでした。
模範解答的な受け答えは特に学生に多かった印象があります。おそらく一生懸命面接対策をしてきたのでしょう。
ただ、むしろ印象に残るのは、「自分の経験を踏まえて、自分の言葉で話している人」でした。

例えば、生徒指導について質問されたときも、「まず話を聞きます。」だけで終わりません。
なぜそう考えたのか。どんな経験があったのか。その背景まで伝えられる人は説得力がありました。
「一人で頑張ります」は意外と危険
教育現場では責任感は大切です。
しかし、それ以上に重要なのが、「必要なときに相談できること」だと思っています。
だからこそ、「まず自分で何とかします。」という回答よりも、「まず子どもの安全を確保し、必要に応じて学年主任や管理職、関係職員と連携して対応します。」という考え方の方が安心感を感じます。
教員はチームで子どもを支えています。
「何でも一人で解決できる人」よりも、「周囲と協力できる人」の方が、現場では信頼されると思います。

模擬授業は「授業力」だけを見ているわけではない
模擬授業というと、「板書がきれいか」「説明が上手いか」ばかり気にしてしまうのではないでしょうか。
もちろん、それらも大切です。
しかし、私が見ていて感じたのは、子どもの存在を感じられる授業ができるかということです。

面接官しかいない教室でも、「○○さん、いい考えですね。」「ちょっと難しかったかな?」「では隣の人と話してみよう。」など、実際に子どもがいることをイメージして授業を進める人は、自然と教室の雰囲気が伝わってきます。
逆に、説明だけが続く授業は、実際の教室を想像しにくく感じました。

第一印象は想像以上に大切
第一印象をかなり大切にしている面接官としての自分がいる、これは意外でした。

もちろん採点は総合的に行われます。しかし、人は第一印象の影響を受けます。
入室した瞬間の
- あいさつ
- 表情
- 姿勢
- 声の大きさ
こうした基本的な部分は、その後の面接全体の雰囲気にも影響します。
もちろん、最初に多少緊張していても、その後に笑顔や自然な受け答えができれば印象は十分に変わります。必要以上に「失敗した」と思い込む必要はありません。
しかし、やはり人と人、爽やかな挨拶や笑顔は想像していた以上に大切だなと感じました。
教育用語を並べるだけでは伝わらない
最近はSNSやYouTubeで採用試験対策を学ぶ人が増えています。
そのため、
- 主体的・対話的で深い学び
- 個別最適な学び
- 協働的な学び
- ICT活用
- インクルーシブ教育
などの言葉は、多くの受験生が使います。
しかし、大切なのは言葉を知っていることではありません。

「自分ならどう実践するか」まで話せる人は印象に残ります。
教育用語はゴールではなく、スタートです。
面接官も「子どもが好きな先生」と働きたい
一日中受験生を見ていて、最後に強く感じたことがあります。
それは、子どもの話をしているときの表情は隠せないということです。
教育実習の話、ボランティアの話、部活動の話、アルバイトで子どもと関わった話。
そうした経験を話しているとき、自然と表情が柔らかくなる受験生がいました。
逆に、暗記した答えだけを話していると、その違いは伝わってきます。
教員採用試験は知識試験でもあります。しかし、それ以上に「人を見る試験」でもあるのだと改めて感じました。私たちも、子どもが好きな先生と働きたいのです!

おわりに
今回、初めて面接官と模擬授業の監察官を経験し、私自身にとっても多くの学びがありました。
もちろん、採用試験には守秘義務がありますので、具体的な試験内容や評価方法についてお伝えすることはできません。
ただ一つ言えるのは、面接官は受験生を落とすためではなく、「この人と一緒に子どもたちを育てたい」と思える先生を探しているということです。
教員採用試験は緊張する場ですが、完璧な答えを目指す必要はありません。
自分の経験を振り返り、自分自身の言葉で「どんな先生になりたいのか」を伝えることが、何よりも大切なのだと思います。


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