教員の退職金はもう安心材料ではない?インフレで進む“実質目減り”の現実

教員の資産形成

【40代教員の退職カウントダウン177:退職まで残り2年9か月】

はじめに

「教員は退職金があるから老後は安心」

そんなイメージを持たれることがあります。

確かに、公務員である教員には退職金制度がありますし、民間企業と比べても比較的安定している職業であることは間違いありません。

しかし、最近私はあるニュースを見て強い危機感を持ちました。

それが、「退職金20年で3割目減り」という日経新聞の記事です。

これは単に「退職金の額が減った」という話ではありません。

インフレ、つまり物価上昇を考慮すると、退職金の“実質的な価値”が大きく下がっているという話です。

今回は、

  • 教員の退職金は本当に安心材料なのか
  • なぜインフレで退職金の価値が下がるのか
  • これからの教員はどう備えるべきなのか

について、現役教員の視点から考えてみたいと思います。

私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯


教員の退職金はすでに減っている

まず前提として、教員の退職金は「ずっと同じ水準」で維持されているわけではありません。

実際、公務員の退職金は2013年の制度改正で大きく引き下げられました。

当時は、民間企業との均衡や財政負担、公務員優遇批判などを背景に、公務員退職金の見直しが進められました

つまり、「公務員だから退職金は絶対安泰」という時代ではすでになくなっているのです。

この退職金制度改正については以下の記事で詳しく取り上げました。

教員の退職金はなぜ減らされたのか?2013年の退職金制度改正から考える「退職金は絶対ではない」という現実

退職金制度改正については以下の記事で詳しく取り上げました

公務員の給与や退職金は民間水準を参考に決められる側面があります。

そのため、民間企業の退職金縮小や終身雇用の崩壊、退職金制度そのものの見直しが進んでいる現状では、今後も教員の退職金が見直される可能性は十分にあります

今後も教員の退職金が見直される可能性は十分にあります

本当に怖いのは「実質価値」の低下

しかし、今回もっと重要なのはここです。「退職金の額面」ではなく「実質価値」が下がっているという点です。

例えば、20年前のおにぎり100円だが今のおにぎりは200円。日本はまさにインフレの時代に突入しました。

物価が上昇したインフレの世界では、同じ1000万円の退職金でも買える物の量は全く違います。

つまり、同じ退職金の金額でも、物価が上がれば価値は下がるということです。

日経新聞のある記事では、世間一般で

  • 名目退職給付(実際の金額):20年で約15%減少
  • 実質退職給付(その時代に購入できるものをベースにした金額):20年で約3割減少

と紹介されていました。これはかなり重い数字だと思います。


インフレ時代は「後でもらえるお金」が弱い

日本では長い間デフレが続いていました。

おにぎりは来年も同じ値段で売っている。物価が上がらない、むしろ値下がりする。だから現金の価値が下がりにくい。そんな時代です。

しかし現在は違います。食品やガソリン、電気代や外食、日用品に至るまであらゆるものが値上がりしています。

今後も教員の退職金が見直される可能性は十分にあります

つまり、「現金を長期間持つだけ」で実質価値が下がる時代になっているのです。

インフレについての関連記事はこちら
20年前と今を比べて見えたこと ― 教員はインフレ時代にどう備えるか

インフレによって実質価値が下がる、これは退職金にも同じことが言えます。

たとえ20年後に2000万円の退職金を受け取ったとしても、その2000万円の価値は、現在の感覚とはかなり違っている可能性があります。

同じ退職金の金額でも、物価が上がれば価値は下がる

「退職金があるから安心」という考えは危険かもしれない

教員は比較的安定した職業です。

そのため、「退職金があるし年金もある。定年まで勤めれば何とかなる」という感覚を持ちやすい職業でもあります。

しかし、「将来まとめてもらえるお金」だけを前提に人生設計を組むのは、インフレ時代ではかなり危険だと感じています。

特に現在は、インフレ進行や社会保険料増加、年金不安や教員給与の伸び悩みなども重なっています。

つまり、「安定しているから大丈夫」というより、「安定している今のうちに備える」という発想が必要な時代なのではないでしょうか。

「安定しているから大丈夫」というより、「安定している今のうちに備える」という発想

関連記事

結局いくら払ってるの?40代教員が実例で解説する自分の支払った税金と社会保険料の総額

教員の教養シリーズ――年金って、結局どうなっているの?を整理してみる

実はあまり増えていない?担任手当の実情― 2025年と2026年で、給与はどう変わったのか ―

関連記事

なぜ資産を持つ人はインフレに強いのか

周囲を見ていると、インフレで苦しくなっている人と、そうでもない人がいます。

その違いの一つが、「資産を持っているか」です。

インフレ時代は、株や不動産、金(ゴールド)や外貨資産などの価値も上がりやすくなります。

つまり、現金だけを持っている人ほど苦しくなりやすいという構造があるのです。

違いの一つが、「資産を持っているか」

もちろん投資にはリスクがあります。

しかし一方で、「現金だけ持つリスク」も、今の時代はかなり大きくなっています。

教員のお金事情シリーズ総まとめ“お金の不安”をゼロにする完全ガイド

教員のお金事情シリーズ総まとめ“お金の不安”をゼロにする完全ガイド

教員こそNISAやiDeCoを学ぶ時代

私は、これからの教員こそ資産形成を学ぶべきだと思っています。

このブログを立ち上げたのも、その情報発信ができればと考たのが理由の一つです

教員は副業制限もあり、大きく収入を増やしにくい職業です。

だからこそ、NISAやiDeCo、積立投資や家計管理などを早い段階から考えることが重要になります。

もちろんリスク許容度は人それぞれですが、「リスクを取らないリスク」も考える必要がある時代になったと感じます。

教員こそ証券口座を持っておいた方がいいと思う理由【初心者におすすめする証券口座】

「リスクを取らないリスク」も考える必要がある時代

退職金だけに頼らない時代へ

もちろん、退職金制度そのものを否定したいわけではありません。

退職金は今でも非常にありがたい制度です。

ただ、「退職金があるから老後は安心」とは、もう言い切れない時代になってきています

だからこそ、退職金や年金に加えて自分で作る資産を組み合わせながら人生設計を考える必要があります。

退職金や年金に加えて自分で作る資産を組み合わせながら人生設計を考える必要があります。

おわりに

インフレが進む時代では、「後でもらえるお金」の価値は下がりやすいという現実があります。

そしてそれは、教員の退職金も例外ではありません。

教員という仕事は、どうしても日々忙しく、お金の勉強や資産形成、老後設計を後回しにしがちです。

しかし、「安定職だから大丈夫」という感覚だけでは、これからの時代は危ういのかもしれません。

退職金を“安心材料”として持ちながらも、それだけに依存しない。

そんな資産形成の視点を、これからの教員には持つ必要があるのではないでしょうか。

退職金に関してはシリーズ記事になっています。よければ別の記事も読んでください。

シリーズ教員の退職金まとめ 退職金は老後の安心材料になりうるのか?

教員の退職金はもう安心材料ではない?インフレで進む“実質目減り”の現実

コメント