40代以上の教員に知ってほしい 教員の知られざる年金「3階部分」とは

教員の資産形成

【40代教務主任の退職カウントダウン203:退職まで残り2年7ヶ月】

はじめに

先日、公立学校共済組合から、少し長い名前の書類が届きました。

「年金払い退職給付算定基礎額残高通知書」

そこには、給付算定基礎額残高として112万9,855円と書かれていました。

教員として20年以上働いてきた私ですが、「年金払い退職給付」という言葉をきちんと理解していたかと聞かれると、答えはノーです。

退職金とは違うのか。
何歳から受け取れるのか。
ねんきん定期便の年金額に含まれているのか。

調べてみると、私たち教員には、あまり知られていない年金の「3階部分」があることが分かりました。

今回は今になって知ったこの仕組みについて、難しい制度説明はなるべく省き、教員が知っておきたいポイントに絞って紹介します。

私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯

教員の年金は「3階建て」で考えると分かりやすい

教員を含む地方公務員の老後の年金は、次のように考えると分かりやすくなります。

階層 主な年金
1階 老齢基礎年金
2階 老齢厚生年金
3階 公務員として働いたことによる上乗せ部分

現在の公的年金制度そのものは国民年金と厚生年金の2階建てですが、地方公務員には別枠の退職給付があるため、老後設計では「3階部分」と考えることができます。

この3階部分が分かりにくいのは、2015年10月を境に制度が変わったからです。

2015年9月までの勤務分には「経過的職域加算額」、2015年10月以降の勤務分には「年金払い退職給付」という別の制度が適用されます。 

地方公務員には別枠の退職給付がある

旧3階部分「経過的職域加算額」

2015年9月以前、公務員が加入していた共済年金には、会社員の厚生年金にはない「職域年金相当部分」がありました。

2015年10月に共済年金が厚生年金へ統合され、この職域部分は廃止されました。ただし、それまでに働いて獲得した権利までなくなるわけではありません。

そこで、2015年9月までの勤務実績に応じて老後に私たちに支給されるのが、退職共済年金の経過的職域加算額です。

原則65歳から、老齢厚生年金などとともに追加で受け取りできます。
※2015年9月以前に一定の共済組合員期間がある人が対象です。 

私は2004年ごろから教員として働いているため、2015年9月までの約11年半が対象になります。正確な金額ではありませんが、これまでの給与履歴から考えると、私の場合は年額5万~7万円程度になるのではないかと見込んでいます。

この部分は2015年9月までの勤務実績によって決まります。

そのため、私が2029年に早期退職しても、対象となる加入期間が短くなるわけではありません。

私が2029年に早期退職しても、対象となる加入期間が短くなるわけではありません

新3階部分「年金払い退職給付」

2015年10月から始まった新しい3階部分が、今回通知書が届いた年金払い退職給付です。
※正式には「退職等年金給付」といいます。

毎月の標準報酬月額やボーナスをもとに一定額を積み立て、利息を加えた残高を、原則65歳から年金として受け取ります。 

私の2026年3月末時点の残高は、次のとおりでした。

給付算定基礎額残高 112万9,855円

現在の付与額(積立額)は、通常月が7,500円、ボーナス月が2万5,125円です。

1年間の積立は約12万5,000円になります。今の水準が続けば、2029年3月の退職時には、利息を除いても残高は約150万円になる計算です。

退職後も受給まで一定の利息が加わるため、私の場合、65歳時点では170万~200万円程度になる可能性があります。

実際の年金額は将来の利率や年金現価率によって変わりますが、現在の制度をもとにした私の概算では、65歳から20年間受給を選んだ場合、次のようなイメージです。

65歳から85歳ごろまで、年額8万~10万円程度

年金払い退職給付は、積み立てた額の半分を終身年金、残り半分を有期年金として受け取ります。有期部分は原則20年ですが、10年受給や一時金を選ぶこともできるようです。 

人生設計が大きく変わるような金額ではありませんが、年1回分の旅行の資金がもらえると思えば嬉しいですね。

年1回分の旅行の資金と思えば嬉しいです

退職金とは別にもらえる

私が最も気になったのは、このお金は、退職金にすでに含まれているのかという点でした。

もし以前に計算した退職金の中に含まれているのだとしたら、年1回の旅行資金というのは皮算用になってしまいます。

教員の退職金-自己都合退職でもいくらもらえる?25年勤続の相場と税金を解説

結論として、この制度は退職金とは別の制度です。

退職金は、退職時に自治体から受け取る一時金です。一方、経過的職域加算額と年金払い退職給付は、原則65歳以降に共済組合から受け取る年金です。

私が2029年に受け取る予定の退職金約1,350万円に、今回の112万9,855円が上乗せされて振り込まれるわけではありません。

反対に、退職金1,350万円の中に、この年金の権利が含まれているわけでもありません。

完全に別枠として考えることのできる制度であるということです。

経過的職域加算額と年金払い退職給付は、原則65歳以降に共済組合から受け取る年金

40代以上の教員は二つとも対象になる可能性がある

2015年9月以前から教員として勤務している人は、

  • 経過的職域加算額
  • 年金払い退職給付

の両方を受け取れる可能性があります。

私の場合、現在の概算では、退職共済年金の経過的職域加算額が年額5〜7万円程度、年金払い退職給付が年額8〜10万円程度です。

つまり65歳以降の私の3階部分は合計で、年額13万~17万円程度になりそうです。

月額に直せば1万円前後です。これだけで老後生活が大きく変わるわけではありませんが、旅行の資金に使わないとしても、固定資産税や火災保険、自動車税など、毎年かかる費用の一部を賄える金額ではあります。これは嬉しい誤算でした。

現在の概算では、65歳以降の3階部分は合計で、年額13万~17万円程度になりそう

ねんきん定期便で確認してみよう

50歳未満の人は、ねんきん定期便の、

「これまでの加入実績に応じた年金額」
「老齢厚生年金」
「公務員厚生年金期間」

を確認します。

ねんきん定期便で確認してみよう

気をつけてほしいのは、ここに表示される公務員期間の年金額には、2015年9月までの経過的職域加算額が含まれています。 

そのため、ねんきん定期便の合計額に、経過的職域加算額をさらに加えると二重計上になってしまいます。

一方、2015年10月以降の年金払い退職給付は別です。こちらは、毎年7月ごろに届く「給付算定基礎額残高通知書」で確認します。 

整理すると、次のようになります。

確認する書類 主な内容
ねんきん定期便 老齢基礎年金・老齢厚生年金・経過的職域加算額
給付算定基礎額残高通知書 年金払い退職給付

経過的職域加算額を単独で詳しく確認したい場合は、公立学校共済組合のマイナ手続きポータルから年金記録の電子交付を申し込む方法もあります。

電子交付される年金見込額では、経過的職域加算額の計算欄も確認できます。 

公立学校共済組合のマイナ手続きポータルから年金記録の電子交付を申し込む方法もあります

早期退職する私の人生設計に影響するのか

私は2029年3月、47歳で正規教員を退職する予定です。

今回の年金を知っても、その計画を変更するつもりはありません。

理由は、二つの3階部分とも、基本的には65歳になるまで生活費として使えないからです。

47歳から65歳までの生活を支えるのは、退職金、保有資産、退職後の仕事による収入です。年金の3階部分が、早期退職を直接可能にしてくれるわけではありません。

一方で、65歳以降に年10万円台の上乗せ収入があると分かったことは、老後設計にとってプラスです。

もちろん知らなくても時がくれば支給されたわけですが、この制度を調べたことによって、より安心感が生まれました。やはり知ることは大事です!

やはり知ることは大事

まとめ まずは二つの書類を確認してみよう

教員の年金には、あまり知られていない3階部分があります。

2015年9月以前から働いている教員には「経過的職域加算額」、2015年10月以降の勤務分には「年金払い退職給付」があります。

制度名は難しいですが、覚えておきたいことはシンプルです。

退職金とは別に、原則65歳から受け取れる上乗せ年金がある。

40代以上の先生は、まず手元にある「ねんきん定期便」と「給付算定基礎額残高通知書」を一度確認してみてください。

私自身、長く教員として働きながら、この制度をほとんど理解していませんでした。

大きな金額ではないかもしれません。しかし、自分が将来受け取れるお金を正しく知ることは、退職や老後の計画を考える第一歩になると思います。

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