教員に役立つ心理学シリーズ②「叱る」より効果的なオペラント条件づけを学校現場で活かす方法

教師のお仕事

【40代教員の退職カウントダウン169:退職まで残り2年10か月】

はじめに

教師をしていると、

  • 毎時間しゃべってしまう子
  • わざとふざける子
  • 注意されると反発する子
  • 授業を止めてしまう子

に悩むことがあります。

しかも、真剣に注意しているのに改善しない。むしろ、「叱るほど悪化している気がする…」

そんな感覚を持ったことのある先生も多いのではないでしょうか。

この時に役立つのが、心理学のオペラント条件づけという考え方です。

これは、子どもの行動を「気合」や「根性」ではなく、行動と結果の関係から理解する心理学です。

学校現場との相性が非常によく、特別支援教育や学級経営でも広く活用されています。

私は40代、小学校教員・教務主任(担任兼務)です。2028年3月に正規教員を退職すると決めています。詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯


オペラント条件づけとは?

オペラント条件づけは、アメリカの心理学者B・F・スキナーによって研究された行動心理学です。

簡単に言うと、人や動物の行動は、その後に起きる「結果」によって増えたり減ったりするという考え方です。

例えば、

  • 褒められた → またやる
  • 注目された → また繰り返す
  • 得をした → 行動が増える

ということです。

逆に、「反応されない」や「得をしない」、「注目されない」行動は少しずつ減っていきます。


「叱る」が問題行動を強化していることがある

教師は問題行動を見ると、つい注意します。

当然です。

しかし心理学的には、注意されること自体が“報酬”になっている場合があります。


子どもは「注目」を求める

例えば、授業中にふざける子。

教師からすると、「授業を邪魔している」ように見えます。

しかし心理学的には、

  • 先生が自分を見た
  • 名前を呼ばれた
  • クラスが笑った
  • 空気の中心になれた

という「注目」が得られているという状態が得られると言えます。

つまり、問題行動によって欲しかったものを得ている可能性があるのです。

これを心理学では「強化」と呼びます。

問題行動によって欲しかったものを得ている可能性がある

強化とは何か?

強化とは、その行動が増えるような結果が起きることです。

学校現場では、「褒められる」「認められる」「注目される」「要求が通る」などが強化になりやすいです。

「褒められる」「認められる」「注目される」「要求が通る」などが強化になりやすい

教室で起きやすい「負の強化」

問題行動への対応で特に起きやすいのが、問題行動ばかり注目される状態です。

例えば、

静かにしている子

→ 特に声をかけられない

ふざけた子

→ 先生が反応する

すると子どもからすると、

「静かにしていても注目されない」
「ふざけると見てもらえる」

という学習や強化が起きることがあります。

これが問題行動の固定化につながることがあります。

問題行動の固定化につながる

「望ましい行動」を強化する

ではどうすればよいのでしょうか。

オペラント条件づけでは、減らしたい行動ではなく、増やしたい行動に注目する

ことを重視します。この心理学を知らなくても、結構ベテランの先生はやっていますね。

減らしたい行動ではなく、増やしたい行動に注目する

学校現場で使える具体例

① 静かな子を先に褒める


「うるさい!静かに!」

ではなく、


「〇〇さん、すぐ準備できてるね」

と、望ましい行動を先に承認します。

すると、「それが正しい行動なんだ」、「認められるんだ」という空気が広がります。

望ましい行動を先に承認します

② “できた瞬間”を逃さない

心理学では、強化はタイミングが重要とされています。

例えば、「5分静かにできた」「素早くノートを書き始めた」「友達に譲れた」など。

そんな“小さな成功”をすぐ認めることが大切です。

強化はタイミングが重要

③ 問題行動だけを舞台にしない

授業中、注意や指導、叱責ばかりになると、問題行動が教室の中心になります。

すると、「問題を起こすと先生が反応する」という強化が進みます。

そのため、普通にできている子や頑張っている子、落ち着いている子が報われません。

そういった子の行動を意識的に言語化することが重要になります。

普通にできている子や頑張っている子、落ち着いている子が報われません

「無視すればいい」という意味ではない

オペラント条件づけは、放置や無関心をすすめているわけではありません。

危険行為や他者への暴力は、当然止める必要があります。

また、安心感や信頼関係、受容は土台として不可欠です。

その上で、“どの行動に注目を与えるか”を考える心理学なのです。

安心感や信頼関係、受容は土台として不可欠

特別支援教育とオペラント条件づけ

オペラント条件付けは、特別支援教育では特に重要な考え方です。

発達特性のある子どもは、失敗経験の積み重ねや強い叱責経験、自己肯定感の低下を抱えていることがあります。

そのため、「できていない所」より、“できた行動を積極的に強化する”ことが効果的な場合があります。

これは甘やかしではありません。

望ましい行動を増やすための環境調整です。

「できていない所」より、“できた行動を積極的に強化する”ことが効果的

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教員が大切にしたいこと

教師はどうしても、問題やトラブル、児童生徒の課題に目が向きます。

なぜなら、それを処理するのも大切な仕事だからです。

しかし心理学的には、注目しされた行動は増えやすいという特徴があります。

だからこそ、良い行動や小さな成長、当たり前にできていることを意識的に拾うことが、学級経営では非常に重要になります。


まとめ|「叱る」より「増やす」

オペラント条件づけは、子どもの行動は“結果”によって変わるという心理学です。

学級経営では、「問題行動を減らす」より「望ましい行動を増やす」視点が大切になります。

もちろん、注意や指導が必要な場面はあります。

しかし、「どの行動に注目を与えるか」を少し変えるだけで、教室の空気は変わっていきます。

心理学は、子どもを「操作」するためではなく、子どもの行動を理解し、より良い関わり方を考えるための学問なのだと思います。

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