【40代小学校教員の退職カウントダウン42:退職まで残り3年6ヶ月】
はじめに
「教員不足!」「教員採用試験倍率、過去最低!」
ここ数年、新聞やニュースでこうした見出しを目にする機会が増えました。
私自身も例外ではありません。本来、担任を持たなくてもよい教務主任という立場にありながら、今年度は2年生の担任を兼ねています。
これは全国的な教員不足がもたらした現実であり、まったく他人事ではありません。
私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職予定です。
今回は、私が担任を兼ねることになった経緯や、現場で感じている教員不足の深刻さについて共有したいと思います。

教務主任とは?
教務主任は、学校運営のなかで「授業に関する中心的な役割」を担う存在です。
主な役割
- 時間割・行事の調整:授業や行事が重ならないように調整。
- 学習指導の中心:年間指導計画や単元配当を作成し、授業の方向性を示す。
- 授業改善・授業研究の推進:研究授業や研修を企画し、授業力の向上を支援。
- 成績・学力管理:出席簿や成績処理、学力調査など学習関連の事務を統括。
- 校務の調整役:教頭や他の主任と連携し、学校全体を見渡す。
本来であれば「担任業務と兼務できる仕事」ではありません。管理職に次ぐ立場であり、学校全体の教育活動を支える役割です。

担任を兼務することになった経緯
当初、私が担任を兼ねる予定はありませんでした。ところが新年度準備も大詰めに差しかかった春休み、4年生の担任をお願いする予定だった講師の先生が突然の辞退。「やっぱりやめます」と宣言されたのです。
人事は白紙に戻り、管理職も講師探しに奔走しました。しかし、年度初めという時期に代わりの担任を見つけることはできません。結果、3月29日という年度ギリギリのタイミングで、私が2年生の担任を引き受けることになりました。
現在は、体育を教頭先生が担当してくださるなど授業時間数を減らしながら、教務主任と担任の二足のわらじを履いています。

前任校でも見た「玉突き人事」
これは私の前任校(1学年6クラスある大規模中学校)でのことです。
次年度の担任がなかなか決まらず、最悪の場合は私が学年主任と担任を兼務する可能性がありました。
最終的には非常勤予定だった大ベテランの先生がしぶしぶ担任を引き受けてくれましたが、その結果、今度は国語の授業者が足りなくなる事態に。他学年から先生を借りると、特別支援の授業が手薄になり、また別の穴埋めが必要になる——そんな「玉突き現象」が連鎖的に起こりました。

講師不足は人材不足の表れ
講師不足は「人がいない」というだけでなく、「経験の少ない人でも採用せざるを得ない」という現実につながっています。
私が経験したケースでは、30代後半で初めて担任を任された非常勤講師の方がいました。採用試験にはなかなか合格できず、ずっと非常勤で働いていた方です。
しかし、授業は分かりづらく、生徒とのコミュニケーションもうまく取れず、無断遅刻も多発。
2学期には、授業や学級活動に常に私や管理職が付き添う必要がありました。本来なら採用されにくい人材でも、講師不足ゆえに教壇に立たざるを得ない現実があるのです。
教員不足の全国的な実態
文科省の調査でも、教員不足は深刻な課題として繰り返し指摘されています。背景にはいくつかの要因があります。
- 採用試験倍率の低下:昔は10倍以上あった倍率が、近年は2倍前後まで低下。
- 長時間労働:部活動や校務分掌の多さから、若手が定着しにくい。
- 休職ドミノ:一人が休職すると、代わりの先生が過重負担となり、さらに休職者が増える悪循環。
- 異動のしわ寄せ:異動で人員を調整しても、講師や非常勤が確保できず、穴埋めに追われる。
「教頭が担任をしている」「校長が授業に入っている」という話も珍しくありません。これは決して一部の学校だけで起きている問題ではなく、全国規模で進行しているのです。
崩壊に向かうリスクだらけの学校現場の現状はこれらの書籍に詳しく書かれています。興味があれば一読をお勧めします


私たちにできること
正直に言って、現場の教員一人ひとりにできることは限られています。制度改革や採用枠の改善は国や自治体の課題だからです。
ただし、現場で自分たちを守る工夫はできます。
- AIツールの活用(ChatGPT、NotebookLMなど)で資料整理や要約を効率化
- Googleスプレッドシートなどの活用で業務を分担・見える化
- 管理職や同僚に早めに相談し、業務を抱え込みすぎない
小さなことでも、業務の効率化を進めることが「セルフ働き方改革」につながるはずです。

セルフ働き方改革に繋げよう!AIについて考えるシリーズ
「先生の時間がないを解決!AIアシスタント「NotebookLM」で業務効率化」
「教材研究をタイパよく進める!若手教員におすすめの効率的な方法」
「AI時代の教師像とは?リーディングDX時代に教員が読むべきおすすめ本3選」
「教員向けChatGPT活用プロンプト集|授業・校務・研究で即使えるテンプレート」
まとめ
- 本来なら担任を持たない教務主任が、担任を兼ねるほど教員不足は深刻化している。
- 前任校でも「玉突き人事」が起こり、講師不足は全国的な問題となっている。
- 教員不足の背景には採用倍率の低下や長時間労働、休職ドミノがある。
- 現場の教員にできるのは、AIやICTを活用した業務効率化と「抱え込まない働き方」。
教員不足は決して対岸の火事ではありません。
目の前の子どもたちにしっかり向き合うためにも、行政に抜本的な解決を求め続けるとともに、まずは私たち自身が働き方を見直す必要があるのだと思います。
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