それでもやっぱり部活動は廃止すべき理由 ― BDK(部活大好き教員)が語る本音

教師のお仕事・健康

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はじめに:BDKだからこそ見える「矛盾」

私は22年間の教員生活のうち、20年を部活動に捧げてきました。自他ともに認める「BDK(部活大好き教員)」です。

私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職予定です

前回の記事では、部活動の「楽しさ」や「やりがい」について率直に書きました。私自身結果も出し、部活動を趣味のように楽しんできました。

しかし、それでも私は声を大にして言いたいのです。

それでもやっぱり部活動は制度として廃止すべきだ」と

今回は、BDKである私が「部活動を楽しんできたからこそ」見えた魅力と制度としての危うさ、それらを踏まえて「部活動を制度として廃止すべき理由」を整理します。


部活動の楽しさ ― BDKだからこそ感じる魅力

まずは前回の記事でも触れたように、BDKである私自身が経験してきた「部活動の楽しさ」について簡単に振り返ります。これは制度廃止の議論においても前提として理解していただきたい部分です。

前回の記事はこちら
部活動を考えてみる ― 教員不足と「部活大好き教員(BDK)」の視点から

1. 努力が結果として見える

授業や学級経営は成果が曖昧で、教師の力なのか子どもの自然な成長なのか判別が難しいことも多いです。

一方、部活動は大会やコンクールといった明確な結果が出る世界。

部活動の勝利や表彰は教師に強烈な自己肯定感を与えます。若い頃、市内大会で3年連続優勝したとき、「自分には指導の才能がある」と勘違いするほどでした。

熱心に部活指導をする顧問

2. 子どもたちが自ら求めてくれる

学級は必ずしも子どもたちが望んで集まった場ではありませんが、部活動は違います。

「上手くなりたい」と自らの意思で集まり、顧問の指導を求める子どもたち。その純粋な関係性は、教師にとって大きなやりがいとなります。

熱心に部活指導をする顧問と真剣な選手

3. 引退試合は卒業式に匹敵する感動

卒業式は教師にとって特別な瞬間ですが、部活動の引退試合や卒部式も同じくらい感動的です。

「先生、ありがとうございました」と涙ながらに伝えられたときは、何物にも代えがたい充実感がありました。


それでも部活動は廃止すべき ― 5つの理由

ここからが本題です。

たとえ部活動に楽しさがあったとしても、制度として存続させるのは無理があります

その理由を5つに分けて解説します。

1. 教員のワークライフバランスを破壊する

部活動は「無給に近い時間外労働」「休日労働」が前提です。

趣味として楽しめるBDKは一部であり、多くの教員にとっては家庭生活や心身を削る大きな負担。

特に子育て世代や若手教員は休む時間がなく、疲弊して離職する例も後を絶ちません。

部活動指導に疲弊する先生

2. 子どもの経験が顧問の熱量や力量次第で不公平

経験豊富で結果を出せる顧問もいれば、全く未経験の先生が急遽任命される場合もあります。部活動は学習指導要領のように教えることが明確になっているわけでなく、練習時間も学校や部活動によって違います。

顧問の力量や熱量で子どもたちが得られる経験の質が大きく左右されるのに、同じ土俵で戦う大会やコンクールがあるのは制度として不健全です。

未経験の部活動を任せられて困惑する先生

3. 安全配慮と保護者対応の負担が重すぎる

現代の部活動では、熱中症対策、ハラスメント防止、事故対応、SNS管理など、競技指導以外の責任が顧問に集中しています。

たくさんの配慮に困惑する先生

これらは本来専門知識を持つ複数人で対応すべき領域ですが、実際には専門的に学んだわけでない教員一人に押し付けられているのが現状です。

4. 担任業務との二重負担

授業準備、学級経営、行事運営だけでも十分に大変なのに、さらに部活動が加わります。

どちらも中途半端になる」ジレンマに苦しむ先生が多く、教育全体の質を下げる要因になっています。

5. 「趣味にできる人」に依存する危うさ

BDKにとって部活動は趣味そのものだから続けられるのです。

しかし制度として組み込まれている以上、好きな人だけが頑張ればいいでは済みません。

善意や情熱に依存した仕組みは持続不可能であり、まさに「やりがい搾取」の典型です。


BDKだからこそ見えた「魅力」と「危うさ」

私は幸運にも恵まれた環境で、結果を出し、部活動を楽しむことができました。

しかし、その経験があるからこそ「制度としての部活動は廃止すべき」と強く感じています。

  • 部活動には確かに喜びや感動がある
  • だが、それは一部の条件が整った教員にしか成立しない
  • 制度全体としては、子どもに不公平感を感じさせ、教員に負担増を強いている。これはすなわち、教員不足を加速させ教育現場を壊す要因になっている

「魅力」と「制度としての危うさ」の二面性を直視することが、部活動問題のより良い解決に向かう本質だと思います。


まとめ:楽しいからこそ終わらせなければならない!

部活動は制度として問題だらけなのに、「楽しい」と感じる先生がいるからこそ、議論が平行線をたどりがちです。

私はBDKとして部活動を心から楽しんできました。しかし、楽しさと同時に「制度の危うさ」も身をもって感じています。

  • 教員の負担が過大で持続不可能
  • 子どもの体験が顧問次第で不公平
  • 安全や保護者対応のリスクが増大

これらを無視して「好きな先生がやればいい」で済ませるわけにはいきません。教育現場の持続可能性を考えたとき、制度としての部活動は限界に来ています。

BDKとしての私の結論はシンプルです。

部活動は即刻廃止し、学校から切り離した地域や専門人材に移行していくべきです!!

その第一歩とするためにも、やるべきではない部活動顧問は勇気を出して断ってください!!

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