【40代教員の退職カウントダウン63:退職まで残り3年6ヶ月】
はじめに
毎月の給与明細を見ると、社会保険料や税金がずらりと並び「こんなに引かれてるの?」とため息をついた経験はありませんか。以前の記事では、その天引きの金額を具体的に整理しました。
【結局いくら払ってるの?40代教員が実例で解説する自分の支払った税金と社会保険料の総額】
今回はその続編として、実際に教員が受けられる保障を整理します。
実は日本の公的保険は世界最高ランクと言う人もいます。「もし病気になったら?」「老後の生活は?」「仕事中にケガをしたら?」など、私たちの日常や将来を支える仕組みを、金額の目安を交えて分かりやすく見ていきましょう。
私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職する予定です。
ちなみに私は社会保障を学んでから、保険を見直し、掛け捨ての生命保険と火災保険、対人対物の自動車保険以外は全て解約しました!
医療:高額療養費制度
医療費が高額になっても、日本は国民皆保険制度で守られています。
ご存知のように自己負担は原則3割です。1万円医療費がかかっても、負担するのは3000円ですみます。
先生方にぜひ知識として知っておいて欲しいのは、高額療養費制度です。
「3割負担でも一ヶ月に300万円かかったら100万円の自己負担になるじゃないか!」
それは違います。高額療養費制度では1ヶ月の自己負担額の上限が決められています。
つまり、最新最先端医療を受けない限り1ヶ月の自己負担額は数万円程度で済むということです。
具体例
医療費が100万円→自己負担は30万円→高額療養費制度を申請すると、年収500〜600万円世帯なら約9万円の自己負担
教員である以上、程度の貯金があれば医療費で自己破産するということはありえないということがわかると思います。
年金:老後だけでなく障害・遺族も
2015年に共済年金は厚生年金に統合され、現在教員は「基礎年金+厚生年金」で支えられています。
- 老齢年金:40年間フル加入で基礎年金は年額 約82万円(月6.8万円)。
- 厚生年金:現役年収500万円で40年加入した場合、年額 約150万円(月12.5万円)。
- 合計すると老後の公的年金は 月18〜20万円前後。教員の場合は40代からさらに年収が上がるので、今の制度でいけば貰える額はもう少し多いでしょう

また、現役世代時に万が一のことがあれば、障害年金(年間約80〜200万円)や遺族年金(年間100万円前後+子の加算あり)が支給されます。
もちろんこの先、社会保険料負担が増えるか、年金の支給額を減らすかという議論はありますが、国家破綻がないかぎり制度としての年金が消滅する可能性は低いと思います。
公務災害補償:労災に相当する保障
民間労働者には労災保険がありますが、公立教員にはその代わりに公務災害補償制度があります。
- 授業中や校務中の事故
- 通勤中のけがや事故
これらはすべて対象で、治療費は全額公費負担(自己負担ゼロ)。さらに長期療養で働けない場合は給与の約8割が支給されます。
障害が残った場合は数百万円単位の一時金や年金が追加で支給されることもあります。
私も30代の頃、恥ずかしながら子どもたちと鬼ごっこをしていて右膝の靱帯を切ったことがあります(涙)
その際の治療費やサポーター費は全て公費負担でした。

休暇・育休:雇用保険ではなく条例ベース
我々には民間と同じ失業給付は基本的にありません。その代わりに公務員には病休・病休職制度や育児休業制度があります。
- 病気休暇:最初の90日間は給与100%支給。
- 病気休職:その後は給与の約80%が一定期間支給。
- 育休:地方自治体により異なりますが、多くの場合給与の50〜67%相当+社会保険料免除。
例えば年収600万円の教員が育休を取れば、年間で約300〜350万円+社会保険料免除分(年間約60万円)の保障がある計算になります。

介護保険:40歳からの備え
40歳以上になると給与から介護保険料が天引きされます。要介護認定を受ければ、月19.8万円(要介護2の場合)のサービス限度額が設定され、そのうち自己負担は1〜2割。つまり月2〜4万円の負担で20万円近いサービスを利用できます。

退職手当・再任用制度
公務員には退職手当制度があり、失業給付の代わりといえる制度です。
- 勤続20年で自己都合退職 → 約1,000万円前後
- 勤続35年で定年退職 → 約2,000万円前後
さらに、定年後は再任用制度があり、フルタイムなら月20〜25万円程度の給与を得ながら年金生活に移行できます。
退職手当(退職金)に関しては以前の記事でくわしく解説しています。
「【教員の退職金】自己都合退職でもいくらもらえる?25年勤続の相場と税金を解説」
「第2の人生の軍資金?自己都合退職の場合、退職金はいくらもらえるの?」
「退職金にかかる税金を計算してみよう【教員向け完全ガイド】」
まとめ
天引きされる社会保障費は、決して「取られっぱなし」ではなく、
- 医療費100万円の手術 → 自己負担は5〜9万円に
- 老後の生活費 → 月18〜20万円の年金
- 公務災害 → 医療費ゼロ+給与8割保障
- 病休 → 給与100%(90日)、その後も約8割
- 育休 → 年収の半分以上+社会保険料免除
- 介護 → 月20万円近いサービスを数万円で利用
- 退職手当 → 20年で約1,000万円、35年で約2,000万円

こうした先生方にとってのセーフティネットに変わっています。
不要な保険を見直そう
ここまで保障が整っているからこそ、民間の保険は「上乗せ」に絞るのが賢い選択です。
次回は「教員が入りがちな不要な保険をどう見直すか」を具体例で紹介していきます。
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