HOW TO 教員の恋愛シリーズ:先生たちの結婚観

教師のお仕事

【40代教員の退職カウントダウン102:退職までのこり3年4ヶ月】


はじめに

先日、夜の職員室で「実は⚪︎⚪︎先生と付き合ってました」という報告を受けました。

同じ学校の先生同士。昨年度からひっそりとお付き合いをしていたけれど、結婚を意識するようになったのでまずは夜の職員室で私に公表したのだそうです。

……とはいえ、職員室の9割はもう気づいていました

行事の準備でいつもペアになるとか、休憩時間に同じお菓子を食べているとか、そういうのはやっぱり隠せません。

20年以上教員をやっていると、そうした「職員室ラブストーリー」や「先生たちの失恋」、そして「先生のいけない恋愛」を見聞きする機会は少なくありません。

私は40代の小学校教務主任(担任兼務)で、2028年度末に正規教員を退職予定です。
※詳しくはこちら → 【私が退職しようと決意した具体的経緯

これから連載として「先生たちの恋愛シリーズ」を書いていこうと思います。

世間であまり語られることのない職員室の恋愛。でも、先生だって人間です。恋もすれば、失恋で落ち込むこともあります。

このシリーズが、教員として、ひとりの人間としての“生き方のヒント”になれば幸いです。


教員の未婚率・結婚傾向

まずはデータから現状を整理してみましょう。

少し古いですが、2015年の統計によると——

  • 男性教員の生涯未婚率:約23%
  • 女性教員の生涯未婚率:約35%

一般の未婚率(男性28%、女性17%)と比べると、男性教員はやや結婚しやすく、女性教員は結婚しにくい傾向が見られます。男性教員が結婚しやすいのは、公務員の安定したイメージが結婚相手に選ばれている理由であると思われます。

では、なぜ女性教員の未婚率が高いのでしょう?

よく言われる理由は次の3つ。

  1. 出会いが少ない。  土日が部活、夜は採点。気づけば日曜日の夜。職場と家の往復の毎日。
  2. 経済的に自立している。  「結婚しなきゃ」というプレッシャーが薄い。
  3. 恋愛よりも仕事優先。  「子どもたちが待ってる」が、恋のチャンスを先送りにする魔法の言葉。

“責任感が強すぎて”目の前のことに一生懸命になってしまうのも教員あるあるです。

“責任感が強すぎて”目の前のことに一生懸命になってしまう

女性教員の生涯未婚率が高い理由を深ぼりしてみる

職場の男女比を確認してみましょう。文部科学省の統計(令和5年)によれば、

  • 小学校教員の女性割合:約67%
  • 中学校教員の女性割合:約44%

つまり、小学校は女性が圧倒的多数。これ、恋愛市場で言えば「女性ばかりの島」に近い状況です。

一方、中学校では男性がやや多いですが、今だに“部活男子”が多忙を極めている世界。お互いに時間が合わず、職場内恋愛が成立しにくい環境ができあがっています。

また、特に小学校の先生は、すぐに動ける服装が求められます。
普段はおしゃれな先生も、職場ではジャージで過ごしたり、おしゃれに気を遣う余裕がない人も多いのではないでしょうか。

そのような環境も恋愛感情を抱くきっかけを少なくしている要因かもしれません。

職場内恋愛が成立しにくい環境

教員は誰と結婚しているのか?

全国約2,000人の教員を対象にした調査(2022年)によれば、男女ともに配偶者の職業1位は圧倒的に「教員」です

数字を見ると、

  • 男性教員の38%が「妻も教員」
  • 女性教員の39%が「夫も教員」

もう、ここまでくると“教員同士婚”は伝統文化の域です。なぜここまで教員同士の結婚が多いのでしょうか?

理由はとてもシンプルです。

① スケジュール感が完全に共有できる

教員のカレンダーは一般企業とまったく違います。長期休暇は多いのに平日は“超絶ブラック”という、理解しにくい構造。

行事の前なんて、夕方からの会議 → 準備 → 翌朝の打ち合わせ、のコンボ。この独特の生活リズムを、最初から説明なしで共有できる相手は貴重です。

② 年間行事・繁忙期・休日のリズムが一致

  • 「夏休みは休暇じゃなくて部活」
  • 「冬休みは通知表と研修と補習」
  • 「4月は死ぬほど忙しい」

こういう「教員特有のしんどさ」を理解してもらうことは非常に難しいですが、同業者ならわかってもらえますよね。

③ 「教育」という深くて語り尽くせない共通テーマ

同じ職業とはいえ、教員ほど価値観の共有が求められる仕事は珍しいかもしれません。

教育観・生徒指導観・学級経営観など、語り始めたら夜が明けます。

デート中に「この保護者どう思う?」と真顔で聞かれても、同業なら話が通じるし「教室あるある」で笑いあえる。これは大きいです。


こうして見ると、教員同士の結婚の多さは偶然ではなく、生活リズム・価値観・使命感が揃ったベストマッチなんですよね。

だから教員同士婚はなくならないし、むしろこれからも続く。教員同士だから分かる“呼吸の合う感じ”が、確かに存在するのです。

生活リズム・価値観・使命感が揃ったベストマッチ

その他の結婚相手と年齢差

教員の結婚相手ランキングをまとめるとこんな感じです。

1位:教員(同業)

2位:会社員(民間)

3位:他の公務員(行政職・警察官など)

つまり、安定職同士の結婚が王道。

恋愛の入り口が“安心感”である点も、教員らしいですね。

年齢差は一般社会とほぼ同様で、上も下も4歳までが多いです

  • 「夫が年上」約50%
  • 「同年齢」約25%
  • 「妻が年上」約25%
教員は誰と結婚しているのか?

ただ最近は、以前に比べると妻が年上の教員カップルも珍しくありません。「はじめに」で私にお付き合い報告をしてくれたカップルも、女性の方が2つ年上です。

平成の頃なら“ちょっと気まずい”とされた関係も、令和ではごく自然な光景になっていますね


5. おわりに:先生の恋愛は“人間らしさ”の証

恋愛も結婚も、人生の正解はありません。

ただ、教員という仕事の中で出会い、惹かれ、支え合うというのは、人を育てる職業の原点そのもののように思います。

恋をして悩むこと、すれ違いに苦しむこと、それらすべてが「人を理解する力」につながる。

それは、生徒指導にも、保護者対応にも、授業にも必ず還元されるのです。

次回からは、実際に私が見聞きした“教員恋愛エピソード”を紹介します。

第一回は【修学旅行の下見から始まる職員室ラブストーリー】です。どうぞお楽しみに。


🕊️ 編集後記

昔、後輩の女性に飲みながら「先生って恋愛してもいいんですね」と言われたことがあります。

もちろん、いいんです。

だって、恋を知らずに人を育てるなんて、そんな難しいことはない。

このシリーズが、そんな“先生の人間味”を肯定する場になればと思います。

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