授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ⑤ 「歴史の授業の導入編」

教師のお仕事

【40代教員の退職カウントダウン124:退職まで残り3年2ヶ月】


はじめに

社会科の歴史学習は、子どもたちの好き嫌いがはっきり分かれる分野ではないでしょうか。

物語のように楽しめる子もいれば、「覚えることが多そう」「難しそう」と、授業が始まる前から不安を抱えている子も少なくありません。

特に小学校6年生や中学校1年生では、

「これから始まる歴史って、どれくらい大変なんだろう」

という漠然とした不安が、学習への壁になる子もいます。

そこで今回は、6年生でも中学1年生でも使える、歴史授業の導入アイデアを2つ紹介します。

どちらも、歴史の内容を教え込むためのものではなく、子どもたちの不安を和らげ、前向きな気持ちで歴史に向かわせることをねらった小ネタです。

私は40代の小学校教務主任(担任兼務)で、2028年度末に正規教員を退職予定です。

この「授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ」では、20年以上の教員経験の中で、実際に子どもの反応がよく、効果を感じてきた取り組みを紹介しています。


① 歴史の長さを「目で見て」実感しよう

準備するもの

  • 養生テープなど(約3m)
  • 黒板 ※準備はこれだけです。

授業の流れ

まず、黒板に約3メートルのテープを横に貼ります。

黒板に約4.5メートルのテープを横に貼ります

テープの左端に「地球の始まり」、右端に「現在(令和〇年〇月〇日)」と書きます。

テープの左端に「地球の始まり」、
現在(令和〇年〇月〇日)

そこで、子どもたちにこんな発問をします。

「みんながこれから学ぶ“歴史の教科書のスタート”の「人類の始まり」は、このテープのどのあたりだと思いますか?」

そう言いながら、サヘラントロプス・チャデンシスの写真を見せます。

私の経験では、多くの子が「真ん中あたり」「少し右寄り」と予想します。


板書しながら、歴史を可視化する

予想を聞いた後、次の内容を板書し、実際にテープ上で位置を示していきます。地球の誕生が46億年前で、3メートルのテープなので1メートルが約15億年、10センチが約1億5000万年年を表すことを伝えます。

  • 海の誕生(約44億年前)  → 左端から約13cm
  • 生命の誕生(約38億年前)  → 左端から約52cm
  • 恐竜の誕生(約2億3千万年前)  → 右端から約15cm

恐竜の誕生で、子どもたちから驚きの声が上がります。

「恐竜って、そんな最近なの?」

続けて示します。

  • 恐竜の絶滅(約6500万年前)  → 右端から約4cm
  • 人類の誕生(約600万年前)  → 右端から約4mm
正解が「6mm」であることを伝えます

ここで初めて、正解が「4mm」であることを伝えます。4ミリのところに線を引っ張り、サヘラントロプスチャデンシスの写真を貼ります。

6ミリのところに線を引っ張り、サヘラントロプスチャデンシスの写真を貼ります

黒板の長さは多少ずれても大丈夫です。正確さよりも「差」を感じることが大切です。


子どもにかける一言

教科書を手に取りながら、私はこう伝えます。

「歴史って長くて大変そうに見えるけど、みんなが学ぶ人類の歴史は、たった4ミリなんだよ。

だから心配しなくていい。肩の力を抜いて、一緒に楽しく学んでいこう。」

肩の力を抜いて、一緒に楽しく学んでいこう

小学校では縄文時代(約1万年前)から学ぶので、さらに短く、0.01ミリ以下のところからスタートするんだよ、という話をしてもよいと思います。

この活動のねらいは、歴史のスケールに驚かせることと同時に、「思ったより大丈夫そうだ」という安心感をもたせることです。

中学校の授業でも、「人類のあけぼの」の500万年くらいは1時間で終わることが多いので、2時間目に「4ミリのうちもう3ミリは終わったよ。歴史って楽勝かもね」という冗談を言ったりします。


②「もしもし亀よ」で時代の順番に親しもう

歴史の授業では、

「時代の名前が覚えられない」「順番がごちゃごちゃになる」

という不安を抱える子も多くいます。

そこで、堅苦しく覚えさせるのではなく、歌に乗せて時代の流れに親しむ小ネタを紹介します。私はこれも歴史の授業の導入で紹介します。


やり方

童謡「もしもし亀よ」のメロディに合わせて歌います。

童謡「もしもし亀よ」のメロディに合わせて歌います
歌詞(区切り) 時代
もしもし亀よ 縄文(じょうもん)・弥生(やよい)
亀さんよ 古墳(こふん)・奈良(なら)
世界のうちで 平安(へいあん)・鎌倉(かまくら)
おまえほど 室町(むろまち)よ
歩ののろい 安土桃山(あづちももやま)
ものはない 江戸(えど)・明治(めいじ)
どうしてそんなに 大正(たいしょう)・昭和(しょうわ)
のろいのか 平成(へいせい)・令和(れいわ)

この活動のねらい

この替え歌は、

正確に暗記させることが目的ではありません。

  • 時代の名前に一度触れる
  • 「聞いたことがある」「歌える」という安心感をもたせる
  • 歴史の授業への心理的ハードルを下げる

そのための活動です。

歴史に苦手意識をもっている子ほど、「ちゃんと覚えなきゃ」と身構えてしまいます。

だからこそ、最初はゆるく・楽しくで十分だと思います。小学6年生で取り組むと、次の日には「先生、覚えたよ!」と言いながら目の前で歌ってくれる子が何人もいます。

ちなみに上で紹介したのは小学生バージョンで、中学一年生には、少し早口になってしまいますが、古墳と奈良の間に飛鳥(あすか)と室町「と」の「と」の部分に戦国(せんごく)を入れます。

また、中学生には中国王朝名バージョンも教えます。

中国王朝名バージョン


おわりに

歴史の授業は、内容に入る前の「導入」で、その年の雰囲気が決まると感じています。

  • 歴史は長くて大変そう
  • 覚えられるか不安

そんな気持ちを少しでも軽くしてから学習に入るだけで、その後の理解や意欲は大きく変わります。

どちらも準備はほとんど不要で、6年生でも中学1年生でもすぐに使える導入小ネタです。

もし、歴史の最初の一時間に悩んでいる先生がいれば、ぜひ一度、試してみてください。

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