授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ⑨ 「若者よ、選挙に行こう!」

教師のお仕事

【40代教員の退職カウントダウン128:退職まで残り3年2ヶ月】


はじめに|「なぜ選挙に行くの?」に、どう答えていますか

中学校社会科、とりわけ3年生の公民分野では、有権者教育を扱います。

選挙の仕組みや政治参加の意義については、教科書や資料集にも丁寧に書かれています。

ただ、授業の中で子どもたちからこう聞かれることはないでしょうか。

「でも、なんで選挙に行かなきゃいけないんですか?」

制度的な説明はできても、中学生が“納得できる理由”を、私たちは十分に用意できているでしょうか。

今回は、私が実際に社会科の授業で子どもたちに伝えている

「若者が選挙に行くべき理由」を、授業で使える小ネタとして紹介します。

私は40代の小学校教務主任(担任兼務)で、2028年度末に正規教員を退職予定です。

この「授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ」では、20年以上の教員経験の中で、子どもの反応がよく、実際に効果を感じた取り組みを紹介しています。

※公立学校の授業である以上、特定の政党や政策に肩入れすることはできません。

その前提を守ったうえでの、一つの考え方の提示です。


若者の投票率は本当に低いのか

「日本は若者の投票率が低い」とよく言われます。これは感覚的な話ではありません。

総務省が公表している年代別投票率を見ると、昭和44年以降の衆議院選挙では、20代の投票率が常に最も低い状況が続いています。

それに続いて、10代・30代の投票率も低水準です。

出典:総務省ホームページ「選挙関連資料」より引用

実際に職場の若い世代に理由を聞くと、よく出てくるのは次のような声です。

  • 「一票じゃ何も変わらないから」
  • 「どの政党や候補者に入れたらいいか分からない」
  • 「マニフェストを比べる時間がない」

どれも、もっともな理由だと思います。


それでも「行かない」という選択がもたらす現実

ただ一つ、はっきり言えることがあります。

投票に行かないという選択は、確実に自分たちの立場を弱くします。

だから私は、授業で次のように伝えています。


若者が選挙に行くべき、たった一つの現実的な理由

― 投票は「理想論」ではなく、最強のデータである ―

「どうせ一票じゃ何も変わらない」

この言葉は、確かに一理あります。たった一人の一票で、政治が劇的に変わることは、ほとんどありません。

どうせ一票じゃ何も変わらない

しかし、それでも選挙に行く意味ははっきり存在します。

しかもそれは、精神論でも理想論でもありません。極めて現実的な理由です。


大事なのは「誰に入れるか」ではない

まず、ここをはっきりさせます。君たちにとって本当に重要なのは、

  • どの政党が勝つか
  • 誰に投票するか

ではありません。

本当に重要なのは、選挙後に必ず公表される「年代別投票率」です。

このデータは、政治家や政党にとって、次の選挙戦略を立てるための極めて重要な資料になります。

  • どの年代が投票に来たのか
  • どの年代が政治に関心を持っているのか
  • どの年代を無視すると次の選挙で不利になるのか

これらは、すべて「数字」で把握されます。

このデータは、政治家や政党にとって、次の選挙戦略を立てるための極めて重要な資料

政治家は「投票する世代」を無視できない

政治家の最大の関心事は、非常にシンプルです。

「次の選挙で当選できるかどうか」

これは、どの政党であっても同じです。もし選挙結果を見て、

  • 若者の投票率が高い
  • 現役世代がしっかり投票している

というデータが出れば、政治家はこう考えます。

「この年代を無視したら、次は落ちるかもしれない」

逆に、投票率が低ければどうなるか。

「この年代は、何をしても票にならない」

厳しい言い方ですが、これが現実です。

この年代を無視したら、次は落ちるかもしれない

投票は「主張」ではなく「存在証明」

若者が選挙に行くことは、「正しい意見を主張すること」ではありません。

「ここにいる」「無視しないでほしい」その存在を数字で示す行為です。

一票一票は小さくても、年代としての投票率が上がれば、政治家の視線は確実に向きます。

その結果として、

  • 若者向け政策が増える
  • 現役世代の負担を意識した議論が出てくる
  • 将来世代を見据えた制度設計が検討される

これは理想論ではなく、選挙戦略として当然の動きです。なぜなら政治家は当選したいのだから!

一票一票は小さくても、年代としての投票率が上がれば、政治家の視線は確実に向きます

年代別投票率は、10年後の生活を左右する

年代別投票率は、その時の選挙だけの話ではありません。

この数字は積み重なり、次の選挙、その次の選挙へと影響していきます。

つまり、

今の若者の投票行動が、10年後の日本と自分たちの生活を形づくる

と言っても、決して大げさではありません。


だから、選挙に行こう|授業で伝えたい結論

「たった1票じゃどうせ変わらない」

そう思う気持ちは、よく分かります。

しかし、行かないという選択は、確実に何も変えません。

選挙に行くことは、政治に期待することでも、誰かを熱烈に支持することでもありません。

ただ、

「この世代は、政治家をちゃんと見ている」

それを数字で突きつける行為です。

それだけでいい。

だからこそ、若者には選挙に行ってほしいと思っています。

どこに入れていいかわからないんだったら、わかるまでは何も書かずに投票したっていい。ちゃんと投票率には反映されます。

それは、今の政治のためではなく、これからの自分たちのために。

後数年で君たちには選挙権が与えられる。それを数字に変えて政治家に突きつけてやってほしいと、先生は思います。

今の政治のためではなく、これからの自分たちのために。

という言葉で締めます。


おわりに|社会科の授業で使うなら

この話は、

  • 特定の政党に触れない
  • 制度説明に偏らない
  • 「参加する意味」を現実的に伝えられる

という点で、公立学校の授業でも使いやすいと思います。

社会科の授業の一場面で、あるいは導入やまとめの小ネタとして、必要な部分だけ切り取って使っていただければ幸いです。

社会の授業はネタ勝負なところがあると思います。よければ以下の書籍を参考にしてみてください。

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「授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ」

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授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ:まとめ

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