【40代教員の退職カウントダウン150:退職まで残り3年】
はじめに
学校の働き方改革が叫ばれるようになって、かなりの時間が経ちました。
- 在校時間の管理
- 部活動改革
- ICTの導入
- 業務削減
さまざまな取り組みが進められています。しかし、多くの先生が感じているのではないでしょうか。
「働き方改革と言われても、仕事はあまり減っていない」
実際に、文部科学省の勤務実態調査でも、在校等時間はやや減少したものの、持ち帰り仕事が増えている傾向が指摘されています。
つまり、学校の中の仕事が、学校の外に移っただけという面もあるのです。
この点は前回の記事【学校の働き方改革がなかなか進まない理由①― 現場の努力では解決できない「構造問題」―】で整理しました。

ただ、この問題を考えるときに、意外と見落とされがちな視点があります。
それが管理職の長時間労働です。
私自身の学校でも、遅くまで仕事をしている隣にはいつも教頭がいます。沢山の調査、地域対応、やる仕事は多岐にわたっています。
学校の働き方改革は、実は管理職がどれだけ動けるかに大きく左右されるのではないかと感じるようになりました。
校長や教頭自身が長時間労働に追われていると、校内の働き方改革を進める余力がないという構造があるからです。

今回は、この「管理職の働き方」という視点から、学校の働き方改革が進みにくい理由を考えてみたいと思います。
私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職する予定です。
詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯】
教頭は学校で一番忙しい
学校の中で最も忙しいのは誰でしょうか。多くの先生は、こう答えるかもしれません。
「教頭先生」
実際、勤務実態調査でも、教頭を中心に管理職の在校時間は非常に長いことが分かっています。
ある調査では、高等学校の平日の在校等時間は
- 教諭:約10時間
- 副校長・教頭:約11時間

管理職の方が長時間労働をしている。これは決して珍しいことではありません。
多くの学校で、教頭は朝一番に出勤し、夜まで電話対応や事務処理を行い、担任のトラブル対応を引き受けるという状況になっています。
現場の先生から見ても、「教頭先生はいつも学校にいる」という印象を持つ人は多いのではないでしょうか。
また、教員不足から教頭が担任を兼ねる、という昔では信じられない状況も珍しくなくなっています。

この状況から、自治体によっては管理職の成り手がない、管理職不足も発生しています。
管理職が忙しいと、働き方改革は進まない
ここで重要なのは、働き方改革を進める主体は誰なのかという点です。
学校の業務を見直すには、
- 会議の削減
- 行事の見直し
- 校務分掌の整理
- 部活動の改革
- 業務の優先順位付け
といった判断が必要になります。
これらを決めるのは、基本的に校長や教頭などの管理職です。
しかし、その管理職が電話対応やトラブル対応、行政対応や書類作成などに追われていると、どうなるでしょうか。
当然、学校全体の業務改善を考える時間がなくなるのです。
結果として「とりあえず現状維持」「新しいことは後回し」「問題が起きたら個別対応」という状態が続きやすくなります。
働き方改革が進まない理由の一つは、ここにあると感じています。

管理職の仕事はなぜこんなに多いのか
では、なぜ管理職の仕事はこれほど多いのでしょうか。
理由の一つは、学校が社会のさまざまな問題の受け皿になっていることです。

学校管理職の仕事には、例えば次のようなものがあります。
- 保護者からの苦情対応
- いじめ問題への対応
- 事故・トラブルの報告
- 地域からの問い合わせ
- 教育委員会への報告書作成
- 各種行政調査への回答
- 学校予算の管理
- 教職員の人事管理
これらはすべて、授業や子どもとは直接関係のない仕事です。しかし、学校という組織の中では、誰かが対応しなければなりません。

そして、その役割が集中しやすいのが管理職なのです。
私の知り合いには子どもとの関わりがすくなった事を原因に教頭になって1年で教員を辞めた先生がいます。詳しくはこちら
【HOW TO 教員の転職 ~管理職だって嫌になる!教頭を辞めた女性教員の選択~】

実は「学校だけで解決できない問題」も多い
さらに近年は、学校が抱える問題がますます複雑になっています。例えば
- 不登校
- 家庭問題
- SNSトラブル
- 特別支援対応
- 地域トラブル

こうした問題は、本来であれば福祉・医療・法律・地域団体などと連携して対応するべきものです。しかし現実には、まず学校が窓口になることが多く、管理職の負担が増えていきます。
結果として、管理職の長時間労働→働き方改革の停滞→教員の業務増加という悪循環が生まれます。
働き方改革には「管理職支援」が必要
現場で教務主任として働いてみてこの問題を解決するために重要なのは、管理職を支える仕組みではないかと感じるようになりました。
例えば次のような取り組みがあります。
① 事務支援の充実
教員業務支援員や事務スタッフを増やし、書類作成や事務作業を分担する。

② トラブル対応の外部化
スクールロイヤーなどの専門家が学校トラブルを支援する。

③ 管理職の業務分担
副校長や主幹教諭などの役割を活用し、業務を分散する。

④ 教育委員会の支援
学校単位では判断しにくい改革(行事削減、部活動改革など)を、教育委員会レベルで進める。

これらが整わなければ、管理職は日々の業務に追われ続け、学校全体の働き方改革を進める余力が生まれません。
そうなれば、先生たちの労働環境を変える余裕はなく、管理職と一般教員との間に気持ちの分断が起こってきます。それこそ不幸です。
おわりに
学校の働き方改革というと、
- 教員の残業
- 部活動
- 業務削減
といった話題が中心になりがちです。
しかし、実際には管理職の働き方も大きな要素ではないかと思います。
校長や教頭が疲弊している学校では、組織としての改革はなかなか進みません。
働き方改革を本当に進めるためには、教員だけでなく、管理職も含めた学校全体の働き方を見直す必要があります。
そしてもう一つ重要なのは、学校だけで問題を抱え込まないことが大切だと痛感しています。
学校が社会のすべてを背負う構造を見直さなければ、働き方改革は形だけのものになってしまいます。
学校の働き方改革は、単なる「業務削減」ではありません。
それは、学校と社会の役割を見直すことでもあると思います。それを我々現場の教師が粘り強く行政に訴えていくことが大切なのではないでしょうか。
今回の記事作成にあたって参考にした書籍です。新たな知見を与えてくれました。よければ手に取って読んでみてください。


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