実はあまり増えていない?担任手当の実情― 2025年と2026年で、教員の給与はどう変わったのか ―

教員の資産形成

【40代教員の退職カウントダウン132:退職まで残り3年2ヶ月】


はじめに|「担任手当ができた」と聞いて感じたモヤモヤ

2025年から2026年にかけて、小中学校の教員を対象に担任手当(月額3,000円) が新設されました。

報道や通知だけを見ると、

「担任の先生の処遇改善が進んだ」 「教員の給与が上がった」

そんな前向きな印象を受けます。報道もあったため、世間一般でもそういう印象になっているでしょう。

しかし、実際に給与明細を見たり、校内で話題にしたりする中で、

  • 「思ったほど増えていない」
  • 「担任じゃないと、むしろ損では?」
  • 「結局、誰の給料が上がったの?」

と感じた先生も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、2025年と2026年を比較しながら、担任手当導入の実情を整理したいと思います。

私は40代の小学校教務主任(担任兼務)で、2028年度末に正規教員を退職予定です。
※詳しくはこちら → 【私が退職しようと決意した具体的経緯


担任手当は「新しいお金」ではなかった

まず大前提として押さえておきたいのは、担任手当は 新たな財源による大幅なベースアップではない という点です。

実際に行われた制度変更

2026年から、次のような見直しが行われました。

  • 義務教育等教員特別手当 → 支給率が 1.5% → 1.0% に縮減(約3分の1削減)
  • 削減した分を財源として → 学級担任に月3,000円を加算

つまり今回の改定は、

全教員に一律で支給されていた手当を削り、その一部を担任教員に振り替えたという 「手当の組み替え」 が本質です。

※なお、教職調整額が4% → 5% に引き上げられた点は、担任手当とは別枠の全国共通施策です。


【職種別】2025年→2026年で実際どう変わったのか

ここから、現場で一番気になる「結局、誰がどれくらい増減したのか」 を職種別に見ていきます。


小・中学校の担任教員

結論:わずかに増えたが、実感は弱い

  • 担任手当:+3,000円
  • 義務教育特別手当:▲0.5%
  • 教職調整額:+1%

差し引きすると、名目上はプラスになります。

ただし、義務教育特別手当が減っているので、「担任になった分がそのまま上乗せされた」わけではありません。

特に元々給与の高いベテランは義務教育特別手当の削減額が大きいので、プラス分は少なく「処遇が大きく改善した」と感じられるほどの増額ではない、というのが実感ではないでしょうか。

「処遇が大きく改善した」と感じられるほどの増額ではない

養護教諭

結論:担任手当の対象外。実質はほぼ横ばい

  • 担任手当:なし
  • 義務教育特別手当:▲0.5%
  • 教職調整額:+1%

教職調整額の引き上げにより、全体では微増ですが、担任手当による恩恵はありません。

全体では微増ですが、担任手当による恩恵はありません

特別支援学級の担任教員

結論:「担任」でも制度上は対象外

自治体によって違いますが、特別支援学級担任は学級担任加算の対象外 とされています。元々特別支援教育手当が支給されているからでしょう。

  • 担任手当:原則なし
  • 義務教育特別手当:▲0.5%
  • 教職調整額:+1%

自治体判断で独自に加算している例もありますが、今のところ全国的には少数派です。

また、特別支援手当は段階的な削減が検討されています。

特別支援手当は段階的な削減が検討されています

中学校の担任を持たない学年主任

結論:責任は増えても、手当は増えない

  • 担任手当:なし
  • 義務教育特別手当:▲0.5%
  • 教職調整額:+1%

実質は 微増〜横ばい。学年全体を統括しても、担任でなければ加算はありません。

責任は増えても、手当は増えない

教務主任

結論:担任手当導入の“割を食う側”

  • 担任手当:なし
  • 義務教育特別手当:▲0.5%
  • 教職調整額:+1%

校務の中枢を担っていても、担任でなければ直接的な処遇改善はありません。


例外的に「純増」を実現した自治体もある|東京都のケース

ここまで見てきたように、全国的には「組み替え」による調整が主流です。

しかし、その中で 例外的に“純増”を実現した自治体 があります。

代表例が東京都教育委員会です。

東京都は何が違ったのか

東京都では、

  • 義務教育等教員特別手当(1.5%)を 削減せず維持
  • その上で、独自財源により 担任手当(学級担任加算)を上乗せ

という対応を行いました。

つまり、全員分の手当はそのまま+ 担任には新たに加算という形になっており、名実ともに「純増」 となっています。

さらに東京都では、

  • 副担任
  • 特別支援学級担任

にも独自加算を行うなど、国制度より広い範囲で担任業務を評価しています。

全員分の手当はそのまま+ 担任には新たに加算という形

なぜ東京都は純増ができたのか

背景にあるのは、

  • 強い財政力
  • 深刻な教員不足への危機感

です。

東京都は以前から、

  • 若手教員の確保
  • 早期離職の防止

を重要課題としており、国の制度に上乗せしてでも処遇改善を行うという判断をしてきました。

一方、多くの自治体では、

  • 国の制度設計どおりに実施
  • 追加財源は投入できず
  • 既存手当の振り替えで対応

せざるを得なかったのが現実です。

東京都は講師の先生も他の自治体に比べて優遇されています。詳しくはこちらの記事で↓

40代教員の退職後プラン|常勤講師の給与比較から見える現実

東京都は講師の先生も他の自治体に比べて優遇されています

まとめ|担任手当は「評価」だが「大幅な改善」ではない

今回の担任手当導入を整理すると、

  • 担任教員:わずかに増額
  • 非担任教員:ほぼ横ばい
  • 役職・支援職:評価されにくい構造

という結果になっています。

担任業務の大変さに光が当たった点は、確かに前進です。

しかし同時に、

  • 特別支援
  • 養護
  • 主任・調整役

といった、学校を支える仕事が相対的に軽く扱われている という違和感も残ります。

東京都の例が示すように、「できない」のではなく、「どこまでやるかは自治体次第」 というのが実情です。

担任手当はゴールではなく、教員の働き方と処遇をどう考えるかという議論のスタート地点なのかもしれません。

教員の働き方と処遇をどう考えるかという議論のスタート地点

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