【40代教員の退職カウントダウン35:退職まで残り3年6ヶ月】
はじめに
「管理職こそ責任を持って定年まで教育現場を支える」──そんな固定観念を持つ先生は多いのではないでしょうか。
私の前の職場に、教頭を務めながら50歳前に正規教員を退職し、非常勤講師として再スタートを切った女性がいました。教育現場に残りつつも、あえて管理職を降りた選択。今回はその同僚の体験を紹介しながら、「管理職としてのキャリア」と「自分らしい生き方」のバランスについて考えてみます。
私は40代の小学校教務主任(担任兼務)。2028年度末に正規教員を退職予定です。
まさに人生の転機に差し掛かっている同世代の先生方にとって、今回の記事が参考になれば幸いです。
出世して感じた「子どもとの距離」
彼女は30代後半で主幹教諭、40代前半で教頭に就任。周囲から「指導力のある先生」「社会科の授業は一級品」と評判で、人望の厚い方でした。

しかし、教頭になって直面したのは想像以上に「子どもから遠ざかる」現実です。
- 地域や教育委員会との調整
- 外部機関とのやり取り
- 生徒指導のトラブル処理
- 曖昧な裁量権と不規則な勤務時間
こうした業務に追われる毎日で、教壇に立つ機会は激減しました。管理職手当は増えたものの、仕事内容とのバランスを考えると「これで良いのか」という疑問が強くなっていったのです。
「子どもと関われるから頑張れた」──その軸が失われたとき、彼女は自分のキャリアを改めて問い直すことになりました。
教師を続ける支えは「子どもとの関わり」
彼女の印象的な言葉があります。
「教師は大変な仕事。でも、卒業式や卒部式で子どもたちが流す涙を見れば、それまでの苦労が全部お釣りになって返ってくる」
つまり、彼女は子どもと関わっている限りは頑張れたのです。
ところが、教頭という立場では子どもの姿を直接見る機会が少なく、やりがいの源泉が失われてしまう。

「このまま定年まで20年近く、つまらない仕事を続けるのか?」
「私が好きなのは“子どもと関わる仕事”だった」
そう自覚したとき、彼女の中で退職の決意が芽生えました。
夫との対話と「DINKS」という選択
彼女は夫と共働きで、あえて子どもを持たない「DINKS(Double Income No Kids)」のライフスタイルを選んでいました。夫は年下で教員ではなく、技術職だそうです。
退職を考えたとき、夫に正直な気持ちを打ち明けたそうです。
すると夫は、
「僕たちに子どもはいない。生活費は自分の給料だけで十分。無理してやりたくない仕事を続ける必要はない」
と背中を押してくれました。
夫の安定した収入と理解、そして二人暮らしという生活スタイルが、彼女に「辞めても大丈夫」と思える勇気を与えました。
思い切った退職とその後の挑戦
彼女は校長や教育委員会から強く慰留されましたが、意志は揺らぎませんでした。教頭職をわずか1年で辞め、正規教員としてのキャリアに幕を下ろします。
退職後は、日本語指導の非常勤講師として教育現場に戻りました。勤務は1日3.5時間、週5日。短時間勤務ながらも、外国籍の子どもたちに寄り添い、新しい学びを支える仕事に充実感を覚えているそうです。
さらに、2024年に新設された「登録日本語教員」の国家資格取得を目指して勉強中とのこと。
教員としての経験を生かしつつ、これからの社会に必要とされる役割を担おうとしています。
実際日本で学ぶ外国籍児童は増え続けており、「登録日本語教員」はこれから現場で必要とされる資格でしょう。

管理職を辞めたからこそ見えた未来
彼女は現在も非常勤の立場で学校に関わり、若手や管理職の相談相手になることもあります。
「映画で若い主人公たちがピンチになったときに颯爽と現れて助ける“かっこいいババア”になりたい」
彼女は笑ってそう語っていましたが、実際すでにそうなっているのではないでしょうか。

管理職を考える先生へのヒント
今回のエピソードから見えてくるのは、管理職を目指すことだけがキャリアの正解ではないということです。
- 管理職に向いている人
- 子どもと直接関わらなくても学校運営にやりがいを感じられる人
- 調整やマネジメントに喜びを見いだせる人
- 子どもと直接関わらなくても学校運営にやりがいを感じられる人
- 管理職がつらくなる人
- 子どもとの時間こそ仕事の支えになっている人
- 裁量の少なさや業務の多さに疑問を感じやすい人
- 子どもとの時間こそ仕事の支えになっている人
自分の適性や価値観と照らし合わせながら、キャリアの方向性を選ぶことが大切です。
まとめ
教頭まで務めながらも退職を決意した女性教員のエピソードは、「管理職を続けることだけが正しいわけではない」と教えてくれます。
彼女は子どもと関わる喜びを軸に、自分らしい働き方を選びました。そして今も教育の現場に立ち、新しい挑戦を続けています。
転職やキャリアの見直しは勇気が要りますが、自分の適性やライフスタイルに合った働き方を選ぶことは決してわがままではありません。
これを読んでいる先生方も、もし「今の仕事は自分に合っているのだろうか?」と迷うなら、一度立ち止まって考えてみてください。管理職を辞めても、教員を辞めても、自分らしく生きる道はきっとあります。
HOW TO 教員の転職シリーズ
『HOW TO 教員の転職 〜自動車業界へ転職した友人に学んだこと〜』
『HOW TO 教員の転職 〜豊かな人生に必要な月収はいくら?〜』


コメント