HOW TO 教員の転職 〜自動車業界に転職した友人から学んだこと〜

教員の転・退職

【40代教員の退職カウントダウン32:退職まで残り3年6ヶ月】

はじめに

教師になったら定年までずっと教員」というイメージを持っている先生は多いかもしれません。
しかし地方の教員養成大学に通っていた私の同窓生には、思い切って教員を辞め、自動車業界へと転職した友人がいます。

私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職予定です。

今回はその友人の体験談を紹介しながら、教員が転職を考えるときに知っておくべき現実をまとめました。これからキャリアについて考える先生方のヒントになれば幸いです。


教員時代に感じた違和感

友人が転職を考えるきっかけになったのは、教員生活の中で抱えた違和感でした。大きく4つにまとめると次の通りです。

① 体系的な育成がない

初任研こそあるものの、現場では授業づくりや校務分掌を体系的に学ぶ仕組みがほとんどなく、前任者に聞きながら手探りで進めるしかありませんでした。新人でも保護者や子どもからはベテランと同じ成果を求められ、常に手探りで走らされる感覚が強かったそうです。

② 評価が年功序列

授業で成果を出しても、部活動で実績を残しても、評価は年齢だけで決まる。努力しても給料には反映されず、モチベーションが削がれていきました。

③ 仕事の偏りと負担増

頑張るほど校務や部活動の仕事が集中し、便利屋のように扱われる。にもかかわらず給与や待遇には反映されない。「頑張れば頑張るほど状況が悪化する」と矛盾を感じたそうです。

④ 出世が希望につながらない

キャリアアップ=子どもと関わる時間が減ること。しかも管理職は裁量が少なく、上に行ってもやりたいことができない姿を見て、自分もそうなりたいとは思えなかったといいます。

これらの積み重ねが「このままでいいのか?」という疑問へとつながったといいます。


転機となったコラボ授業

7年目の秋、彼は5年生を担任していました。その年に車を買った友人は、社会科で「自動車の学習」を担当した際、購入した車のディーラーとコラボ授業を実践します。それが転機になりました。コラボ授業の内容は

  • 技術職が電気自動車の仕組みを解説
  • 運動場での電気自動車試乗体験
  • 支店長による自動車産業の未来の話

授業は大成功。この話を聞くだけで彼が優秀な教員であったことは想像にかたくないでしょう。

ただ、その授業準備の過程で彼は「数字が評価につながる仕事観」や「お客さんとの対話の面白さ」を知り、自動車業界に強く惹かれるようになったのです。


転職活動で学んだこと

友人が口にした印象的な言葉が2つあります。

  「転職にはリスクはあるが、転職活動にはリスクはない」

確かに、転職すれば収入や職場環境にギャップがあるかもしれません。
しかし転職活動そのものは、教員を続けながらでも可能で、失うものは自分の時間だけです。

  「転職活動で自分の市場価値が知れたことは社会人として大きかった」

彼は教員を続けながら転職活動を同時並行で進めます。忙しい仕事の合間を縫って、転職サイトに登録し、転職エージェントに相談に乗ってもらいながら自動車業界の求人を探しました。

実際に活動することで、自分の人材としての「市場価値」を知ることができ、キャリアを考える良いきっかけになったといいます。

彼が転職活動で評価されたのは、日々の授業で培ったプレゼン力とコラボ授業を成立させるコミュニケーション能力でした。


自動車業界で働くリアル

転職を決意してから1年半後、彼は自動車販売会社の営業職に就職します。3月まで教員を務め、4月からの転職だったのでかなり慌ただしかったでしょう。現在の様子も聞きました。

  • 給料は教員時代より下がった
  • 残業はあり、勤務時間も教員時代と比べ短くはない
  • それでも成果が数字に表れること」や「お客さんと対等に向き合えること」が大きなやりがいになっている

特に「理不尽なクレーム対応が減った」という点を強調していました。教員時代とは違い、ビジネスの現場ではお客との関係は対等。毅然と対応できることが精神的な支えになっているそうです。

数年前、彼は職場の女性と結婚し、息子にも恵まれたそうです。おめでたい!!


もう一度教員に戻りたいか?

彼の答えは意外にも「戻るかもしれない」でした。
社会人経験を積んだからこそ、子どもたちに伝えられることが増えたと感じており、今の教員不足の状況を考えれば、再び教育現場に戻る選択肢もあるといいます。

実際、40歳を過ぎた彼は

元教員として現場を知っている

他業種で社会人経験を積んでいる

子育ても経験し、保護者の気持ちにも寄り添える

「教員へ再転職」の市場価値、非常に高そうですね


教員にとって転職活動の意味

この友人の話から学べるのは、「転職活動そのものが自己成長の機会になる」ということです。

  • 自分の市場価値を知る
  • 他業種の働き方を知る
  • 将来のキャリアの選択肢を広げる

転職するかどうかは別として、まずは転職サイトや転職エージェントに登録し、情報を得るだけでも大きな一歩です。

私自身も彼の話を聞いてから転職サイトに実際に登録してみました。なぜなら「転職活動だけならリスクはない」から。リアルに40代教員の市場価値は厳しい部分もあります。ただ一方、全く求人がないわけではないとわかりました。これが私の市場価値です。


まとめ

  • 教員の道を歩んできた人でも、異業種に転職して新しいやりがいを見つけられる
  • 転職活動だけならリスクがなく、自分の市場価値を知るだけでもメリットがある
  • 教員不足の時代だからこそ、一度離れても戻る選択肢がある

「定年まで教員しか道がない」と思い込まずに、自分のキャリアを見直してみてはいかがでしょうか。

まずは気軽に転職サイトをのぞいてみることから始めてみましょう。転職にはリスクがあるが、転職活動にはリスクはないのですから!

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