【40代教員の退職カウントダウン55:退職まで残り3年6ヶ月】
はじめに:教員の給料は本当に高い?低い?
「教員の給料ってどのくらいなの?」「他の業界と比べるとどうなの?」
こうした疑問を持つ先生は少なくありません。転職活動を始めると転職エージェントに「教員は給与水準が高いので、未経験分野だと年収が下がりますよ」と言われることもあります。
転職や将来設計を考える際、自分の収入水準や将来の見通しを正しく把握しておくことは重要です。
今回は、2025年時点での教員給与の仕組み・現状・将来見通しを整理し、さらに他業種との比較も紹介します。
私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職予定です。

教員給与の基本構造とは
教員給与は地方公務員の給与体系に基づいており、以下の要素で構成されます。
- 基本給(等級・号給):勤続年数に応じて決められている。
毎年4号給ほど昇給(約6,000〜1万円増)。 - 諸手当:地域手当、住居手当、扶養手当など。地域や自治体によって異なる。
- 教職調整額:残業代の代わりに基本給の4%が一律加算。
この仕組みにより、毎年確実に昇給していく安定型の給与体系となっています。その代わり基本的に給与には成果報酬等は加算されません。教職調整額も定額一律ではなく「給与の4%」なので、基本給が低ければ大した額はもらえません。典型的な年功序列型給与体系ですね。
私の友人の一人は若いうちに教員から別の仕事に転職しましたが、転職理由の一つは
「自分の方が働いているし、結果も出しているのに年配の先生の方がずっとたくさんの給料をもらっているのが嫌だ!」
でした。彼は自動車業界に転職しました。
「HOW TO 教員の転職 〜自動車業界に転職した友人から学んだこと〜」
年齢別モデルケースで見る教員の給料の現状(2025年時点)
ある調査によると2024年度の平均月給は以下のとおりです。
- 小学校:約32.2万円
- 中学校:約33.2万円
- 高校:約35.3万円
- 特別支援学校:約33.5万円

中学校や特別支援学校がやや高いのはそれぞれ部活動手当と特別支援手当、高校が他に比べて高いのは平均年齢で説明できるようです。
若い先生にもイメージしやすいよう、年齢ごとの給与モデルを示します。
- 25歳(勤続3年目・独身)
- 基本給:約22万〜23万円
- 手当込み年収:約350万円前後
- 30歳(勤続8年目・既婚・地域手当あり)
- 基本給:約26万〜28万円
- 年収:約450万〜500万円
- 40歳(勤続18年目・主任クラス)
- 基本給:約35万〜38万円
- 年収:約650万〜700万円
- 50代後半(勤続30年以上・管理職手前)
- 基本給:約45万〜48万円
- 年収:約850万〜900万円

👉 若手時代は「残業が多いのに給与は低め」と感じがちですが、長期勤続で守れば安定的に増えるのが特徴です。
ちなみに年収とは給料の総額なので税金を払った後の手取りはこれよりも少なくなります。教員の税金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「結局いくら払ってるの?40代教員が実例で解説する税金と社会保険料の総額」
教員給与の将来見通し(2026年以降の改革)
民間企業でも賃金の引き上げが行われている中、文部科学省は教員不足を背景に処遇改善を進めています。
- 教職調整額の引き上げ → 2026年度から毎年1%ずつ増額し、2031年度に10%へ。
- 新手当の創設 → 担任手当(月3,000円)、主務教諭手当(月6,000円)を導入予定。
- 勤務時間削減の目標 → 2030年度までに時間外勤務を「月30時間以内」に抑制。
👉 給与は今後徐々に改善される見込み。ただし、公務員給与は地方自治体や国の財政状況に左右されるため、民間企業の初任給のように急激な昇給は難しいと考えられています。
今後も緩やかな処遇改善が続く可能性はありますが、景気や税収の影響を受ける点は変わりません。また、財政や自治体裁量により地域差は残ると予想されます。

教員給与と他業種の比較
新卒給与の比較
- 大卒初任給:約24.8万円(年収300万円前後)
- 教員初任給:約22万〜23万円(諸手当ボーナス込みだと年収約350万)
👉 教員は一般企業平均よりやや高い水準でスタートします。特に平均値は高年収に引っ張られ高めに出る傾向にあるので、中央値から見ると決して低い水準ではありません。
高給与業界との比較
- 商社・外資系コンサル:新卒でも年収400万〜700万円超。
- 教員:20代後半で350万〜450万円。
👉 上を見ればキリはありません。高収入業界には及ばないが、安定性特に基本的に減給がないのは教員の強みでしょう。
日本全体の平均との比較
- 日本全体の正社員の平均年収:約500万〜600万円。
- 教員:30代半ば以降でこの水準に到達し、50代で700〜900万円台。
この年収の高さが教員の転職が難しいとされる要因の一つです。詳しくはこちらの記事にて
「HOW TO 教員の転職 〜転職エージェントに聞いたリアル事情と成功のヒント〜」
まとめ:教員給与は安定的に右肩上がり
- 20代:約350万円前後、50代で約800万円台に到達。
- 将来的に教職調整額が10%まで拡充される見込み。
- 一方で、残業代が十分に補填されない点や自治体間格差は課題。
- 高給与業界ほどのスピード感はないが、安定性は大きな強み。
大切にしたいのは人生において大事なものが何かということです。
人生において大事なものが給料であるなら、教員を辞めるという選択はかなり厳しいものとなるでしょう。お金なのか、やり甲斐なのか、家族との時間なのか、健康なのか。
今一度自分の働く意味を考えてみてもいいかもしれません。

参考にしてほしい転職の実例 HOW TO 教員の転職シリーズ



『HOW TO 教員の転職 〜自動車業界へ転職した友人に学んだこと〜』
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