退職金にかかる税金を計算してみよう【教員向け完全ガイド】

教員の転・退職

【40代教員の退職カウントダウン52:退職まで残り3年6ヶ月】


はじめに:教員にとって退職金は老後資金の柱

「教員を辞めたい」と決意しても、多くの先生が心配するのは退職後のお金です。その中でも最大の武器となるのが退職金。

私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に退職予定です。

退職金って税金でどれくらい持っていかれるんだろう?」と不安になったことはありませんか?

結論から言えば、大丈夫。退職金は税制上の優遇が非常に大きく、通常の給与と比べても圧倒的に有利です。この記事では退職金にかかる税金の仕組みと具体的な計算例を、教員目線で分かりやすく解説します。

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退職金にかかる税金の仕組み

退職金の税額は、次の式で計算されます。

(退職金 − 退職所得控除) × 1/2 × 税率

難しく見えますが、教員にとって有利な3つのポイントがあります。

  1. 退職所得控除
    • 勤続年数に応じて大きな控除が受けられる。
    • 勤続20年までは「年数 × 40万円」
    • 20年を超えると「800万円+(20年超の年数 × 70万円)」
    • 産休や育休中の年数もカウントできる。
  2. 1/2課税 控除を引いた後の金額にさらに1/2をかけるため、課税額が半分になります。
  3. 分離課税 ここが少し分かりにくいポイント。
    【語句解説】分離課税とは?
    所得税には「総合課税」と「分離課税」の2種類があります。
    • 総合課税:給与所得・事業所得・年金など、ほとんどの収入を合算して税率を決める方式。収入が増えるほど累進課税で税率が高くなる。

    • 分離課税:他の所得とは切り離して、単独で計算される方式。退職所得や株式の譲渡所得などが該当。
    👉 退職金は「分離課税」扱いなので、給与や副業の収入と合算されません。そのため、退職金をもらった年に副業収入や配偶者の扶養の有無にかかわらず、余計に税率が上がることがないのです。

勤続年数別の控除額のイメージ

  • 勤続15年 → 15 × 40万円 = 600万円まで非課税
  • 勤続30年 → 800万円+(10年 × 70万円) = 1,500万円まで非課税

つまり、教員のように長く勤める人は、退職金の大部分が非課税になるケースが多いのです。


実際に計算してみよう(私のケース)

私は勤続25年で退職予定、退職金は1,350万円と見込んでいます。

  1. 退職所得控除: 800万円+(5年 × 70万円)= 1,150万円
  2. 課税対象額: 1,350万円 − 1,150万円 = 200万円
  3. 1/2課税: 200万円 × 1/2 = 100万円
  4. 所得税: 100万円 × 5% = 5万円 +復興特別所得税 1,050円 → 約5.1万円
  5. 住民税: 100万円 × 10% = 10万円

👉 合計 約15万円

退職金が1,350万円あっても、かかる税金は15万円ほど。

いかに退職金が優遇されているかが分かります。

実際に計算してみよう(妻のケース)

私は勤続14年で退職
退職金は370万円ほどでした。

  1. 退職所得控除:
    14年 × 40万円= 560万円
  2. 課税対象額:
    370万円 − 560万円 = ➖190万円

👉 合計 0万円(退職金非課税)

早期退職でしたが退職金は非課税でした。

教員の退職金が優遇されやすい理由

  • 長期勤続が前提 → 控除額が大きくなる
  • 分離課税で安心 → 他の所得と合算されず有利
  • 定年退職者が多い → 大半が非課税範囲内に収まる

一方で、早期退職や依願退職では勤続年数が短くなり控除額が減るため、課税対象になる可能性もあります。この場合は事前にシミュレーションしておくことが大切です。


まとめ:安心して退職金を受け取ろう

退職金は、

  • 勤続年数に応じた退職所得控除
  • 1/2課税
  • 分離課税

という3つの優遇があるため、教員であれば大半が非課税、課税されてもごくわずかで済みます。

退職後の生活資金に直結する退職金。制度の仕組みを理解しておけば、安心してキャリアの次のステージに進めます。

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