【40代教員の退職カウントダウン50:退職まで残り3年6ヶ月】
はじめに:教員にiDeCoは必要か?
「老後2000万円問題」が話題になって以降、老後資金への関心は高まっています。
しかし、教員の多くは年末調整のおかげで税金の知識に触れる機会が少なく、「節税」と「老後資金準備」を同時にできる制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)のことを知らない先生も少なくないのではないでしょうか。そこで前回の記事では、iDeCoの基本を整理しお伝えしました。
「教員の老後資金対策にiDeCoは向いている?メリットとデメリットを徹底解説」
私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職予定です。
今回は、教員歴22年の私自身の実例(年収780万円/掛け金2万円での節税効果)を紹介しながら、講師・正規教員・年代別にどんな属性の先生がiDeCoが向いているのかを整理します。
さらにNISAとの比較も加え、判断の参考にしていただける内容にしました。

iDeCoの基本をおさらい
- 自分で作る年金制度:掛け金と運用方法を自分で決める
- メリット
- 運用益が非課税
- 掛け金が全額所得控除(節税効果あり)
- デメリット
- 60歳まで引き出せない
- 運用失敗による元本割れリスク
- 退職金制度が充実している教員は、受取時に課税が発生する可能性
👉 「節税+老後資金積立」という強力な制度ですが、柔軟性が低い点が特徴です。
教員の退職金についてはこちらの記事で詳しく整理しています
「第2の人生の軍資金?自己都合退職の場合、退職金はいくらもらえるの?」
「退職金にかかる税金を計算してみよう【教員向け完全ガイド】」
実例:40代正規教員のiDeCo節税効果
私の2024年度の年収は約780万円でした。課税所得は控除を差し引いて約400万円。
- iDeCo掛け金:月2万円(年24万円)
- 年間節税額:24万円 × 約20%(税率) ≒ 4万4,000円
つまり、実質24万円積み立てながら、そのうち約4万円は税金が戻ってくるイメージです。
これは「教員の安定収入+所得控除枠」を最大限活かした強力な節税手段だと実感しています。

属性別:教員にとってのiDeCoの向き不向き
1. 非常勤講師(扶養内・年収100万円前後)
- 所得控除メリット:課税所得が少ない、または0であるためメリットなし
- 老後資金や退職金が少ない → 本来は老後の備えが薄いのでiDeCoを活用したい
- ただし、資金拘束や手数料を考えると、NISAの方が合理的

👉 結論:メリット小。優先順位は低い
2. 正規教員(安定収入あり)
- 掛け金上限:月2万円
- 年収600〜800万層なら、年間4〜5万円の節税効果
- 安定収入で資金拘束リスクは小さい
- 一方、退職金・厚生年金が手厚いため受取時の課税リスクあり

👉 結論:メリット大。ただし出口戦略を工夫すべし
3. 20代〜30代の若手教員
- 年収がベテランに比べて低く、所得控除の恩恵は小さい
- ただし長期投資ができるため、運用益非課税メリットは最大化
- 現役時代の生活資金を優先したり自己投資を優先すべきケースも多い

👉 結論:メリット中。余裕資金があれば検討
4. 40代〜50代の中堅〜ベテラン教員
- 所得控除メリットが大きい(私のケースで年4万円超の節税)
- 運用期間は短くなるため株式比率に注意(受け取り時期後ろ倒しも検討)
- 出口戦略(受け取り方・退職金との調整)が重要

👉 結論:メリット大。制度の旨味を最も享受できる層
NISAとの比較:どちらを優先すべきか?
- NISA
- いつでも引き出せる自由度
- 教育資金や住宅資金にも使える
- iDeCo
- 老後資金専用
- 強力な節税効果あり
👉 教員の場合
- NISAで流動性を確保
- 余裕資金があるなら iDeCoで老後資金+節税効果を狙う
両者を組み合わせることで、「現在の生活の柔軟性」と「将来の老後資金」をバランス良く確保できます。

まとめ:教員にとってiDeCoは「条件次第で強力」
- 非常勤講師:メリット小 → NISA優先
- 若手教員:長期投資でメリット中
- 中堅〜ベテラン教員:節税メリット大、出口戦略がカギ
「国が全ての老後を面倒見きれない時代」だからこそ、iDeCoは強力な自己防衛ツールです。
教員の安定収入を生かし、NISAとの併用で自分に合った資産形成を始めましょう。
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