HOW TO 教員の転職 〜豊かな人生に必要な月収はいくら?〜

教員の転・退職

【40代教員の退職カウントダウン34:退職まで残り3年6ヶ月】


はじめに

教員が向いていない気がする、毎日がしんどい。そう思いながらも「教師になったら定年まで続けるもの」──そんなイメージに引っ張られて一歩を踏み出せない、そんな先生もいらっしゃると思います。

私は40代の小学校教務主任(担任兼務)で、2028年度末に正規教員を退職することを決めています。

地方の教員養成大学に通っていた私には教員の友人も多く、その中には転職を経験した人もたくさんいます。

今回は私の先輩の一人で、36歳で教員を辞め、自分らしくゆるく働く道を選んだ人の転職について紹介します。

先輩の体験談を通して、「幸せに暮らすために必要な給料の額」について考えます。キャリアに迷っている先生方のヒントになれば幸いです。


職員室が苦痛になった理由

初任から中学校で勤務し、35歳のときに小学校に異動した先輩。

いきなり6年生の学年主任を任されましたが、そこにはいくつもの壁が待っていました。

① 中堅年齢だからこそ助けがない

小学校の行事の進め方が分からず、思い切って同僚に尋ねました。
「昨年はどう進めていましたか?」
「去年と同じでやれば大丈夫ですし、先生の思うようにやってくださっても大丈夫です」

会話はそれで終わり。
(去年のやり方を知らないから聞いているのに…)と胸の内でつぶやきます。

経験があるからできて当然、という無言の圧力。小学校での仕事を知らない先輩の孤立感は強まっていきました。


② 職員会議の空気

会議では発言するのは決まって声の大きい一人のベテラン女性。
「この係、私の負担になるので他の人でお願いします」

その意見は毎回すんなり通ります。
見かねた先輩は勇気を出して発言しました。

「それだと不公平になりませんか? 全体で協力してやっていくべきでは…」

すると返ってきたのは冷ややかな言葉。
「独身のあなたとちがい、家庭もある私は時間がとれません。やれる人がやるべきでしょう」

会議室の空気は一気に凍りつき、発言すること自体が怖くなりました。

後に同僚から「小学校には管理職よりも発言権のあるベテランさんがいます。逆らうと面倒なのでみんな黙認してるんですよ」という言葉を聞きます。


③ 学年経営のギャップ

中学校では不良男子の指導は男性教員、女子の難しい話は女性教員というように、「チーム学年」で役割分担をしながら支え合ってきました。

しかし小学校の学年主任として「学年全体で子どもを見ていきませんか?」と提案しても、なかなか理解されません。あとで同僚に耳打ちされます。
小学校の担任は個人事業主の集まりみたいなものです。各クラスの先生がそれぞれの考えて学級経営しています。」

この後、先輩は苦手としていた女子の指導に行き詰まります。


④ 管理職との溝

最後の拠り所と思い、管理職に相談しました。
「正直、孤立していて学年経営が難しいんです」

しかし返ってきたのは、
「学年主任なのだから、中学校的な考えは捨てなさい。周りの先生の気持ちや考えをもっと汲み取りなさい」

問題の解決ではなく、自分が折れることばかり求められる。相談すること自体がストレスになっていきました。


教員を続ける理由はあるのか?

先輩は独身で、結婚や家族を持つ予定もありませんでした。10年以上の教員生活に加え、実家暮らしのため貯金も十分。両親は元銀行員で老後資金も安心です。他に兄弟もいないので家も相続する予定です。

そこで冷静に考えました。
「自分が幸せに生きていくには、月いくらあればいいのだろう?」

  • 家賃:0円(実家暮らし)
  • 食費:4万円
  • 通信費:1万円
  • 趣味(バイク):2万円
  • 雑費:3万円

合計:10万円程度
余裕を見ても月収15万円あれば十分だと気付きます。そこで先輩は教員からの転職を決意しました。


転職活動で大切にしたこと

先輩の言葉が印象的でした。

「給料ってすごく大事。でも自分の人生はもっと大事」

転職活動で重視したのは次の3つ。

  1. ツーリングに行ける休日があること
  2. 職場のストレスを最小限にできること
  3. 実家から通いやすいこと

転職サイトに登録し、エージェントに相談に乗ってもらいながら、先輩が選んだのは小さな医療院の「医療事務」でした。


医療事務で働くリアル

  • 給料は半減:収入は減ったが生活には困らない
  • 残業なし:夜勤はあるが、勤務はマニュアル化され安心
  • 人間関係の煩わしさなし:公平な分担でストレスが少ない
  • 休日はツーリング三昧:仕事を引きずらずオンオフが明確

教員時代と全く違う労働環境。でも先輩は「収入は減ったけど、十分幸せ。どうしてもお金に困ったら常勤講師をやればいい。そのための教員免許。」と笑顔で語っていました。


お金はあればあるだけ幸せなのか?

この体験から学べるのは、人生に必要なお金は人によって違うという当たり前の事実です。

  • 独身か、家族がいるか
  • 住宅ローンがあるか、持ち家か
  • 趣味にどれだけ使うか

条件によって「豊かに暮らせる金額」は変わります。

死ぬときに一番お金を持っていても意味はありません。大切なのは「自分にとって必要なお金」を見極めることなのです。給料の金額=幸せの量ではないのです。


まとめ

  • 人間関係のストレスはお金以上に人生を左右する
  • 必要なお金の金額は人それぞれ違う
  • 経済状況を見直すことで新しいキャリアが見えてくる

「定年まで教員しか道がない」と思い込まず、自分らしい働き方を考えてみることが、豊かな人生につながるかもしれません。


📌 教員が転職を考えるときのチェックリスト

  • 自分に必要な生活費を具体的に計算してみる
  • 今の職場でのストレス要因を整理する
  • 「お金」と「時間・心の余裕」を天秤にかけてみる
  • 転職サイトに登録して求人を眺めてみる
  • 信頼できる人にキャリアの悩みを話してみる

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