HOW TO 教員の転職 ~教員から伝統芸能へ~

教員の転・退職

【40代教員の退職カウントダウン33:退職まで残り3年6ヶ月】

はじめに

「教師になったら定年までずっと教員」。

そんな固定観念を持つ先生は多いのではないでしょうか。

しかし、私の同窓生の中には勇気をもって教員を辞め、伝統芸能である落語家の道に飛び込んだ友人がいます。

私は40代小学校教務主任(担任兼務)

2028年度末に正規教員を退職する予定です。

今回はその友人のエピソードを紹介しながら、自分の適性を見極め、やりたいことを実現するためのステップについて考えてみたいと思います。キャリアに迷う先生方にとって、ヒントになるかもしれません。


教員として抱いた違和感

友人は幼い頃から子ども好きで、保育士か教員か迷った末に教員養成大学へ進学しました。

「子どもの成長を喜べる」──この一点に関しては自信がありました。

しかし、現場に立つと違和感が募っていきます。

  • 授業中、子どもの小さなトラブルに冷静に対応できず、授業後にはぐったり机に突っ伏す自分がいる。
  • 学年会議で同僚が活発に意見を出す中、自分は発言できず自己嫌悪に陥る。
  • 新学習指導要領の研修で「新しい授業スタイルを構築しよう」と言われても、不安ばかりが募りストレスを感じる。
  • 保護者から「子どもの心のケアをどう考えているのか」と問われ、責任の重さに眠れなくなる夜が続く。

「子どもが好き」という気持ちだけでは務まらない。

そして彼は気づきました。これは職場や職業の問題ではなく、自分の適性の問題だ、と。無理に教員を続けても消耗するだけだと感じるようになったのです。


落語との出会い

転機は偶然の出会いでした。ある日ふらっと立ち寄った芝居小屋で落語を目にします。学生時代、演劇部に所属していた彼にとって、落語はまさに「究極の一人芝居」。その世界観に一瞬で魅了されました。

最初は市民サークルに入り、週1回の稽古と年2回の発表会。けれど次第にそれだけでは満足できなくなり、「本気で落語家を目指そう」と心に決めました。


安全なステップを踏む決断

とはいえ、すぐに教員を辞めて弟子入りするわけにはいきません。子どもこそいなかったとはいえ、結婚していた彼には、生活と収入の現実がありました。

そこで彼が取ったのが教員を続けながらプログラミングスクールに通うことでした

情報教育に強く、職員室でもICT担当として活躍していた経験を活かし、システムエンジニア(SE)として在宅勤務が可能なスキルを身につけようと思ったのです。

教員を続けながらのスクールはとても大変だったといいますが、在宅で学習できる環境があり、なんとかプログラミングスクールで十分な力を身につけてから教員を退職。

その後、非常勤講師とSEの二足のわらじで収入を確保しながら、落語家の弟子入りへ。

その世界のことは私も詳しく知りませんが、昔と違い住み込み修行等ではなく、他の仕事を持ちながら修行される落語家も今は珍しくないそうです。

現在は駆け出しながらも舞台に立ち、好きなことを全力で取り組む毎日を過ごしています。


収入面と家族の支え

もちろん、落語だけで生活できるわけではありません。非常勤講師を辞めた後も、SEの仕事を続けて家計を支えています。大きな支えになっているのは、妻が正規雇用で安定した収入を持っていること。

ただ、一度舞台を観に行きましたが、彼の表情は本当に楽しそうでした。「好きなことをやっている人間の輝き」がそこにありました。


彼の言葉

彼はこう語っていました。

教員はやりがいがあって素晴らしい仕事かもしれない。でも適性がなければ苦しいだけ

落語という表現を手に入れたことで、人生がとても豊かになった。

あの日落語に出会えて、本当に良かった。

妻の理解も大きかったでしょう。しかし、いきなり「落語家になる」と宣言したら理解は得られなかったはず。SEという安全なステップを挟んだことが教員の転職を成功させるカギだったのだと思います。


プログラミングスキルが切り開いた未来

このエピソードから見えてくるのは、新しい挑戦には収入を確保するスキルが必要だという現実です。友人の場合はプログラミングでした。

今やプログラミングスクールは社会人でも通いやすく、在宅ワークにつながる案件も多くあります。教員として培った「説明力」や「計画性」とプログラミングを掛け合わせれば、副業やキャリアチェンジの強力な武器になります。

👉「やりたいことはあるけれど生活が不安」という先生にとって、プログラミングは選択肢を広げる手段の一つになるでしょう。


まとめ

  • 子ども好きだけでは教員は続けられない。適性に気づくことも大切。
  • 新しい道へ進むときは、安全なステップ(スキル習得)を挟むことが成功のカギ。

「教師になったら定年まで教師」ではなく、自分の人生を自分で選ぶ時代です。

もし今、教員という道に疑問を抱えているなら、友人のように小さな一歩から踏み出してみてください。

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