授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ⑧「読書感想文って、どう書くの?」

教師のお仕事

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はじめに

読書感想文という宿題。

自分が教員だった頃はあまり意識していませんでしたが、親になってみると、これはなかなか大変な宿題だと実感しました。

  • 本を読む
  • 感想を考える
  • 文章にする
  • 原稿用紙○枚にまとめる

この一連の流れが、子どもにとっても、保護者にとっても大きな負担になっている家庭は少なくないと思います。

そのためか、以前に比べると読書感想文を宿題にしない学校も増えてきました。

それでも、小学3年生から中学2年生頃までは、夏休みの宿題として読書感想文が出されることもまだまだあります。

今回は、

作文が苦手な子

何を書いていいかわからず手が止まってしまう子

に向けて、私が夏休み前に実際に指導していた読書感想文の書き方を紹介します。

上手な作文を書くための方法ではありません。

できるだけ負担を小さくし、それでも最後まで書き切れる方法です。

私は40代の小学校教務主任(担任兼務)で、2028年度末に正規教員を退職予定です。

この「授業で使えるちょっとした小ネタシリーズ」では、20年以上の教員経験の中で、子どもの反応がよく、実際に効果を感じた取り組みを紹介しています。


なぜ、読書感想文が書けないのか

読書感想文が書けない理由は、いくつもあります。

  • 本を読むのが苦手
  • 文章を書くこと自体が苦手
  • 「感想って何を書けばいいのかわからない」
感想って何を書けばいいのかわからない

その中でも、特に多いのが「選んだ本の内容が、自分の実態から遠い」というケースです。

作文が苦手な子ほど、一番書きやすい題材は「自分のこと」です。

そこで、今回の指導では本を先に選びません。


ステップ① 先に「何を書くか」を決める

まず子どもたちに、こう問いかけます。

  • 夏休みに楽しみにしている予定はある?
  • 今、夢中になっていることは何?
  • 習い事や大会、発表会はある?
「何を書くか」を先に決めてしまうことで、作文のハードルが一気に下がります。

おすすめなのは、

  • 習い事
  • 夏休みの家族の予定(※夏休みの宿題でない場合は、直近の予定)

です。

そして読書感想文にそのことを書くと伝えます。

「何を書くか」を先に決めてしまうことで、作文のハードルが一気に下がります。


ステップ② その内容に近い本を選ぶ

次に、決めた内容に近いテーマの本を選びます。

例)

  • 夏休みにキャンプに行く予定がある  → 同年代の主人公がキャンプに行く本
  • スポーツの大会がある  → 同年代の子がスポーツに打ち込む本
  • 習い事を頑張っている  → 努力や成長が描かれている物語

「本を読んでから感想を考える」のではなく、自分の経験や属性に近い本を選ぶことがポイントです。


ステップ③ あらすじ+自分の体験を交互に書く

書き始めは、とてもシンプルで構いません。

  1. 本の簡単なあらすじを書く
  2. 主人公の行動に合わせて、自分の体験を入れる

例えば、キャンプの本なら、主人公がキャンプに行く話が出てきたところで

「ぼくも夏休みに家族でキャンプに行きました」

とつなぎます。

そして同じ体験をしていれば、

主人公と同じように、〇〇をしました。

そしてそのまま、自分がキャンプで体験したことを書いていきます。

主人公の体験が自分と少し違うなら、

もしキャンプで自分に同じことが起こったら、〇〇だと思います。

と書きます。そのまま自分の経験を元に考えて書いていくといいでしょう。

スポーツや習い事でも同じです。

主人公は野球ですが、私はピアノに取り組んでいます。主人公の努力する姿を読んで、自分のことを思い出しました。

というように、主人公の行動を、自分の体験に置き換えて書くのがコツです。

主人公の行動を、自分の体験に置き換えて書く

ステップ④ 原稿用紙の6割は「自分のこと」でOK

この方法を使うと、原稿用紙の6割ほどは自分の経験や気持ちで埋まります。

最後は、

  • 主人公のような大冒険ではなかったけれど、私にとっては大切な経験でした
  • 私も主人公のように、これからも頑張りたいです

といった形で締めくくります。


私のおすすめの本

本を選ぶにあたっておすすめの本を紹介します

夏休みに家族とキャンプや旅行に行く(小学生向け)

  • ぼくらのサマーキャンプ(国土社 / 著:村山早紀)
    • あらすじ: 5年生の男の子が、夏休みの5日間のキャンプを通して自分自身のテーマに向き合う物語です。
    • 特徴: 国土社の「5年生が読む楽しい童話」シリーズの一冊で、緑豊かな高原を舞台にした鮮やかな夏の物語として描かれています。
  • レッツ キャンプ(佼成出版社 / 著:いとうみく)
    • あらすじ: 小学4年生の晴斗が、母親の再婚相手である「新しいお父さん」と二人きりでキャンプに行く物語です。
    • 特徴: テント設営や料理での失敗、キャンプ場で出会った別の親子との交流を通じ、新しい家族との距離感や「父と子」の絆について考える、高学年にふさわしい深みのある内容です。 
  • 『たびいえさん』(くもん出版 / 著:北川チハル)
    • 内容: 小学校中学年から高学年向けに書かれた、旅と冒険の物語です。
    • 魅力: 「旅」をテーマにした読み物として、図書館などでも推奨されています。 

スポーツに打ち込んでいる(高学年・中学生向け)

  • 『バッテリー』シリーズ(角川文庫 / 著:あさのあつこ)
    • あらすじ: 孤高で天才的な才能を持つピッチャー・原田巧と、彼を受け止めるキャッチャー・永倉豪の出会いと成長を描く野球小説の金字塔です。
    • 魅力: 登場人物たちの揺れ動く心理描写が鋭く、特に中学生の複雑な人間関係や自立心が色濃く表現されています。
  • 『あと少し、もう少し』(新潮文庫 / 著:瀬尾まいこ)
    • あらすじ: 寄せ集めの男子中学生6人が、駅伝の県大会出場を目指して襷をつなぐ物語です。
    • 魅力: 選手それぞれが抱える悩みや背景が襷リレーと共に明かされていく構成で、チームで戦うことの意味を教えてくれます。 
  • 『一瞬の風になれ』(講談社文庫 / 著:佐藤多佳子)
    • あらすじ: 兄へのコンプレックスからサッカーを諦め、陸上短距離の世界へ飛び込んだ主人公・新二が、親友の連と共に成長していく物語です。
    • 魅力: 練習の過酷さや風を切る疾走感がリアルに描かれており、読んでいるだけでスポーツの熱量が伝わってきます。

これらの本は、部活動に励む本人はもちろん、これから何かを始めたいと考えている子供たちにも、一歩踏み出す勇気を与えてくれるでしょう。

文化活動に打ち込んでいる(中学生向け)

  • 『くちびるに歌を』(小学館文庫 / 著:中田永一)
    • あらすじ: 五島列島の中学校を舞台に、産休に入る顧問の代わりにやってきた美人ピアニストの臨時講師と、合唱部の生徒たちの交流を描きます。
    • 魅力: 2025年も中学生女子に人気の本として挙げられており、コンクールを目指す過程で生徒たちが抱える悩みや、歌を通じて心が一つになる様子が感動を呼びます。
  • 『カラフル』(文春文庫 / 著:森絵都)
    • あらすじ: 前世の過ちで死んだはずの「ぼく」が、自殺を図った中学3年生の真の体に乗り移り(ホームステイ)、再挑戦する物語です。
    • 魅力: 主人公が美術部に所属しており、絵を描くことで自分の感情や世界と向き合う様子が描かれています。2025年版の読書感想文おすすめ本や中学生が感動する名作として広く紹介されています。

この方法について

この書き方は、賞を狙ったり、完成度の高い感想文を書くための方法ではありません。

しかし、

  • 読書感想文が苦痛になっている子
  • 何を書けばいいかわからず手が止まる子

にとっては、「これなら書けそう」と思える希望の書き方になります。

読書感想文が原因で、夏休みがつらい思い出になってしまうのは、とてももったいない。

「書けた」「終わった」という経験が、次の作文への自信につながれば、それで十分だと思っています。


おわりに

読書感想文は、本の内容を立派にまとめる課題ではありません。

本をきっかけに、自分の経験や気持ちを言葉にする練習です。

それならば、作文の内容が自分の事だってOKのはずです。

作文が苦手な子、読書が苦手な子ほど、ぜひこの方法を試してみてほしいと思います。

また、先生ではなく保護者の方にはこちらの本もおすすめです。よければ試してみてください。

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