教員の「休日がつらい」現象を考える ― なぜ休んでも疲れが取れないのか

教員の健康を考える

【40代教員の退職カウントダウン87:退職まで残り3年5ヶ月】

はじめに

やっと休日なのに、なぜか気持ちが落ち着かない

1日寝ても、疲れが抜けない

休みのはずなのに、学校のことが頭から離れない

多くの先生が、こんな“休日のしんどさ”を感じています。

平日はもちろん多忙。やっと訪れた休みなのに、リラックスできない。

その結果、「休んでも疲れが取れない」という悪循環に陥ってしまう。そんな精神状態に心当たりはありませんか?

私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職予定です。
詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯


教員の「休日がつらい」現象とは

この現象は、一般的な“疲労”とは少し違います。

体を休めても、心が休まらない。それは、「常に気を張り続ける仕事」である教員ならではの特徴です。

  • 休日でも、ふと授業の準備や子どもの顔を思い出してしまう
  • 学年だより、成績処理、報告書……「終わっていない仕事」が頭に浮かぶ
  • 休みの日にもLINEや業務チャットが入る
  • 「休み明けの月曜」が怖い

気づけば、「仕事から離れている時間」が休みの日であってもほとんどない。

これが、教員特有の“休んでも休まらない状態”を生み出しています。
この状態は「寝れば元気になる」ではないのが厄介なところです。

教員特有の“休んでも休まらない状態”

私の妻が教員を辞めた一番の理由が、この「土日や夏休みで、完全に頭の中から仕事が消えた時なんてあっただろうか?常に脳のリソースの一部が仕事に取られている」状態です。

妻は転職して改めて「やっぱり教員をやっていた時は、本当の意味での休日はなかったゆっくりできる休日がある、それだけで転職した価値があった!」と言っています。

ゆっくりできる休日がある、それだけで転職した価値があった!

私が教員を辞めようと思った経緯や、妻の転職の経緯はこちら↓
私が退職しようと決意した具体的経緯


なぜ休んでも疲れが取れないのか

① 「オン」と「オフ」の切り替えができない

教員の仕事は、「授業」「行事」「保護者対応」「部活動」など多岐にわたります。

しかもそれが“人”を相手にした仕事であるため、責任感や感情のエネルギーを常に使います。

平日はフルスロットルで動き、休日になっても頭が止まらない――。

まるでエンジンを切らずにアイドリングしている状態です。

教員の仕事は、「授業」「行事」「保護者対応」「部活動」など多岐にわたる

② 「やらなきゃ」が休みを侵食してくる

教師の休日は、表向きは“休み”でも、実際にはこうです。

  • テストの採点や学級通信を持ち帰っている
  • 家にいても、次の授業のことを考えている
  • 行事前は休日も準備に出勤
  • 部活動のために出勤しなければならない

つまり、「休みの日=仕事が遅れを取り戻す日」になっている。これでは、休むどころか「追われる休日」です。


③ 「休むこと」に罪悪感を抱いてしまう

「自分だけ休んで申し訳ない」「他の先生も頑張ってるから、休んでいられない」

そんな気持ちが心の中で休むことを邪魔します。

これは、真面目で責任感の強い先生ほど陥りやすい考え方です。

でも、心が休まらない休日は、長期的に見れば仕事のパフォーマンスを下げる結果になります。

心が休まらない休日

教務主任として感じる現実

教員の働き方を見ていて感じるのは、「多くの先生が“仕事以外の自分”を持てなくなっている」ということです。

休日が「ただ寝る日」や「明日に備える日」になってしまう。でも、それでは人としての“回復”が起きないと思います。

私は教務主任として、こう考えています。

休むことは、仕事の一部。むしろ「きちんと休む力」がある先生ほど、長く良い仕事を続けられる。

だから、休日に心から休めない先生を見ると、本気で心配になります。

責任感のある先生ほど、限界まで頑張ってしまうからです。何より昔の私がそうでした。

人としての“回復”が起きない

「休日がつらい」を抜け出す3つのヒント

① 休日の“予定”をあえて入れる

「何も予定を入れずに休もう」と思うと、結局仕事のことを考えてしまいがちです。

思い切って、好きなカフェに行く・映画を見る・散歩するなど、

“自分のための予定”を最初に入れておきましょう。

疲れているのに予定なんて、と思うかもしれませんが、私の経験上寝ることよりも心のスイッチをOFFにする方がよっぽど回復します。「今日はこれをする」と決めておくことで、心のスイッチが切り替わりやすくなります。

私は自分の心をOFFにするためにサウナを活用しています。頭を空っぽにできるサウナが私にとっての至福の時間です。
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② “回復のリズム”を見つける

休み方にも、人それぞれ合うスタイルがあります。

  • 午前は家事や外出、午後は完全オフ
  • 1日家でゆっくり、夕方だけ外出
  • 朝だけ学校関係のことをして、午後はリセット

自分に合った“休息リズム”をパターン化しておくと、休日の不安が減ります。


③ 「休む=チームへの貢献」と捉える

教務主任として伝えたいのは、休むことはチームプレーの一部であるとマインドチェンジして欲しいということです。

先生が疲れ切っていると、授業にも職員室にもその雰囲気が伝わります。

あなたがしっかり休むことで、子どもにも他の職員にも“安心感”が生まれます。

「休むことはわがまま」ではありません。元気に戻ってくることが、職員室への最大の貢献です。


おわりに

「休みなのに、休まらない」

――それは、心がSOSを出しているサインかもしれません。

休日に罪悪感を抱くほど、あなたはきっと真面目で、責任感のある先生です。

でも、心と体を守ることは、先生の仕事の一部です。

子どもたちに「無理しないでね」と言うように、自分にも「しっかり休もう」と優しく声をかけてください。

休むことは、逃げることではない。

立ち止まって、自分を取り戻すための“前進”です。

どうか安心して、あなたの休日を「心のメンテナンスの日」にしてください。

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