HOW TO 教員免許の取り方 〜教員免許が取得できる6つのルートを徹底比較〜

教員の転・退職

【40代教員の退職カウントダウン76:退職まで残り3年5ヶ月】

はじめに

「教員免許を取りたいけれど、どういう方法があるのか分からない」

そんな方は意外と多いのではないでしょうか。

以前の記事では、教員の転職における教員免許の活用教員免許の種類と階層(二種・一種・専修)を整理しました。

「教員の転職を考える|教員免許が有利に働く転職先とは?」

「教員免許の種類と階層をわかりやすく【現職教務主任が解説】」

教員免許の種類

今回の記事ではその前段として、実際に免許を取得する6つのルートを紹介します。

大学生だけでなく、社会人でも取れるルートが増えている今、あなたのライフスタイルに合った最適な道を一緒に見つけていきましょう。

私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末で正規教員を退職する予定です。
詳しくはこの記事をどうぞ→【私が退職しようと決意した具体的経緯


教員免許の取得ルート早見表

取得ルート 取得できる免許 期間 費用目安 働きながらの両立
大学(教員養成課程) 小・中(各教科)一種免許 等 4年(短大は2年) 高(400〜600万円) 在学中(学生)
通信制大学 幼・小・中・高 等の一種・二種免許 2年以上 中〜高(50〜100万円) 可能(計画的学習が必要)
科目等履修生制度 幼・小・中・高 等の一種・二種免許 1〜2年(単位数次第) 中(20〜40万円) 可能(通学時間に注意)
教職大学院 小・中・高 等の専修免許 2年(短期1年可) 高(120〜150万円) 難しい(休職推奨)
教員資格認定試験 幼二種・小二種・特支一種 〜1年 低(受験料2〜3万円) 可能(独学中心)
特別免許状 小・中・高(特別免許状) 数ヶ月 低(審査無料〜数千円) 可能(要推薦)
臨時免許状 該当校種の臨時免許状 随時 可(教員勤務中)
教員免許を取得したよ

各ルートの特徴と具体例

1️⃣ 大学で教員養成課程を履修する(王道ルート)

代表例:国公立の教育学部、私立の教職課程併設学部(文学部・理学部など)

  • 期間:4年間
  • 費用:国公立 約240万円、私立 約400〜600万円
  • 良い点
    • 教育理論・教科内容・実習を体系的に学べる
    • 卒業と同時に一種免許を自動取得できる
    • 教員採用試験との親和性が高い(新卒採用に強い)
  • 不利な点
    • 期間・費用が最も大きい
    • 社会人が入り直すのは現実的に難しい
  • 向いている人
    • 高校卒業後にじっくり教職を学びたい人
    • 教職仲間と刺激し合いながら成長したい人
大学で学ぶ学生

2️⃣ 通信制大学で学ぶ(社会人・大学生の併修に最適)

代表例:放送大学、明星大学通信、佛教大学通信、玉川大学通信

  • 期間:2〜3年(最短2年)
  • 費用:約50〜100万円
  • 良い点
    • 働きながら取得可能。全国どこからでもオンライン受講
    • 学費が安く、再進学より経済的
    • すでに学士を持つ場合、必要科目のみ履修で効率的
  • 不利な点
    • 自主学習中心でモチベ維持が課題
    • 実習・スクーリングの調整が必要(職場理解が鍵)
  • 向いている人
    • 社会人/子育て中/地方在住で通学が難しい人
    • 自分のペースでコツコツ学べるタイプ
通信教育で教員免許を取ろう

3️⃣ 科目等履修生制度を利用する(単位追加で最短ルート)

代表例:地元国立大の教育学部・私立大学の教職課程(夜間・集中講義あり)

  • 期間:1〜2年
  • 費用:約20〜40万円
  • 良い点
    • 不足科目だけをピンポイントで履修できる
    • 通学制なら実践的な授業が受けられる
  • 不利な点
    • 開講時間が平日日中に集中しやすい
    • 募集枠が少なく、選考がある場合も
  • 向いている人
    • すでに大学卒で、免許に必要な単位を補いたい人
    • 現職教員で別教科免許を追加したい人
グループワークで学びを深める学生

4️⃣ 教職大学院で学ぶ(専修免許+修士号の取得)

代表例:上越教育大学、鳴門教育大学、兵庫教育大学など

  • 期間:2年(短期履修1年もあり)
  • 費用:国公立で約120〜150万円
  • 良い点
    • 専修免許+教職修士号が得られ、キャリアアップに直結
    • 現職教員・リーダー層向けの実践的カリキュラム

教員免許の格や種類についてはこちらの記事で解説しています↓
教員免許の種類と階層をわかりやすく(現職教務主任が解説)

  • 不利な点
    • 学業負担・費用ともに大きい
    • 現職は休職や長期履修を検討する必要あり
  • 向いている人
    • 教職スキルを磨きたい現職教員
    • 管理職・指導主事・教育行政を目指す人

5️⃣ 教員資格認定試験で合格する(国家試験ルート)

取得できる免許:幼稚園二種・小学校二種・特別支援一種(自立活動)

  • 期間:半年〜1年
  • 費用:受験料 約25,000円
  • 良い点
    • 費用が安く、短期間で挑戦できる
    • 学歴・経歴を問わず受験可能(高校卒以上)
  • 不利な点
    • 合格率20%前後で難関
    • 中高免許は対象外
  • 向いている人
    • 独学が得意で短期集中で学べる人
    • 大学進学が難しい社会人・主婦層
教員資格認定試験を受ける男性

教員資格認定試験についてはこちらの記事で詳しく紹介しています↓
【2025年版】教員資格認定試験とは?社会人でも教員免許が取れる“もうひとつの道”を徹底解説


6️⃣ 特別免許状・臨時免許状(実務経験を活かすルート)

  • 具体例
    • 特別免許状:英会話講師→中学校英語
    • 臨時免許状:教員不足地域で社会人を臨時採用
  • 期間:数ヶ月〜3年(臨時免許は有効3年)
  • 費用:ほぼ無料
  • 良い点
    • 実務スキル・社会経験を活かして教壇に立てる
    • 現場で経験を積みながら採用試験を目指せる
  • 不利な点
    • 地域・教科・期間が限定される
    • 正規採用とは待遇が異なる
  • 向いている人
    • 英語・情報・看護・芸術など専門分野の経験者
    • まず現場に入って経験を積みたい人

このルートに関しては各自治体の教育委員会にお尋ねください。


合わせて読みたい:教員の教養シリーズ『教員免許』

教員免許の種類と階層をわかりやすく解説

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教員資格認定試験とは?社会人でも教員免許が取れる“もうひとつの道”を徹底解説

教員の転職を考える|教員免許が有利に働く転職先とは?

教員免許更新制度はなぜ廃止されたのか?制度が生まれた理由と、現場が感じた限界

まとめ:自分に合った方法で、教職への一歩を

タイプ別におすすめルートを示しました。

タイプ おすすめルート
高校卒業後に教員を目指す 教員養成課程のある大学(教育学部など)で一種免許を取得
他学部の大学生 通信制大学を併修して必要単位を履修(教育実習は夏休み等に実施)
社会人・転職希望者 通信制大学/科目等履修生制度で必要科目のみ取得
現職教員・キャリアアップ 教職大学院で専修免許+教職修士(専門職)を取得
費用を抑えて短期挑戦 教員資格認定試験(幼二種・小二種・特支一種など対象)
実務経験を活かしたい 特別免許状(教育職員検定)/臨時免許状で現場経験を積む

私は教員生活20年以上になりますが、これまでの経験の中で、教員免許の種類や取得方法によって職員室での立場や仕事の内容に違いを感じたことはありません。実際、どの先生がどのように免許を取得したのかを意識したことも、知ろうと思ったこともありません。

教員不足が深刻化する今、教師という仕事に夢や希望を持ち、「自分も子どもたちの成長に関わりたい」と思ってくれる方は本当に貴重な存在です。

教員不足は2030年代に解消?データから未来を考えてみた

もしそのような思いをお持ちなら、ぜひ教員免許の取得にチャレンジしてみてください。きっと新しい世界が広がるはずです。

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