【40代教員の退職カウントダウン72:退職まで残り3年5ヶ月】
🏁 はじめに
原材料の高騰などを背景に、新車の価格は年々上昇しています。
一方で、教員をはじめとする公務員の給与は大きく増えておらず、「新車は遠い存在」と感じている人も多いでしょう。
そんな中で人気が高まっているのが、残価設定型クレジット(残クレ)と呼ばれる自動車ローンです。私自身も今の自動車は残価設定ローンで購入しました。
月々の支払いを抑えながら新車に乗れる仕組みとして注目されていますが、資産形成の観点から見るとデメリットが非常に多いというのが利用した私の感想です。
今回は、残価設定ローンの仕組み・メリット・デメリットを整理しながら、なぜ避けるべきなのかを、私の経験を加えて詳しく解説します。
私は40代小学校教務主任(担任兼務)、2028年度末に正規教員を退職する予定です。
詳しくはこちらの記事から→【私が退職しようと決意した具体的経緯】
自動車全般の家計の見直しについてはこちらの記事から↓
「固定費見直しシリーズ⑤― 車のコストを整えると数百万円の差になる」

🚗 残価設定ローンとは? 仕組みをわかりやすく解説
残価設定ローン(残クレ)は、2000年代後半に登場した比較的新しい自動車購入の仕組みです。
「月々が安い」「新車に乗れる」という魅力で人気を集めています。
たとえば、500万円の車を5年ローンで購入する場合を考えてみましょう。
| 項目 | 通常ローン | 残価設定ローン(残クレ) |
|---|---|---|
| 車両価格 | 500万円(全額をローン対象) | 500万円(うち残価200万円を据え置き) |
| 支払い対象金額 | 500万円+利息 | 300万円+利息(残価200万円は最終回) |
| 月々の支払い額(5年ローン例) | 約8万3,000円+利息 | 約5万1,000円+利息 |
| 最終回の支払い | なし | 以下のいずれかを選択: ・残価(200万円)を支払って車を買い取る ・車を返却してローンを終了する ・新しい車に乗り換えて再契約する |
| 所有権 | 購入者 | クレジット会社またはディーラー(契約期間中) |
| 利息の仕組み | 元本が減るごとに利息も減少 | 据え置いた残価にも利息が発生(総支払額が増えやすい) |
| 満期後の選択肢 | そのまま所有・売却・乗り換え自由 | 返却・買い取り・乗り換えの3択(制約あり) |
「将来の下取り価格(残価)」を最後に据え置くことで、月々の支払いを抑えられる仕組みです。
5年後には、以下の3つの選択肢があります。
1️⃣ 残価(200万円)を支払って車を買い取る
2️⃣ 車を返却してローンを終了する
3️⃣ 新しい車に乗り換えて再び残クレ契約を結ぶ

💡 残価設定ローンのメリット
残クレのメリットは、表面的には非常に魅力的に見えます。
- 月々の負担が軽くなる 支払額が通常ローンより約40%安くなるため、ワンランク上の車に手が届きやすい。
- 新車に乗り換えやすい 3〜5年ごとに新車へ買い替えがしやすく、常に新しい車に乗れる。
- 将来の下取り価格があらかじめ決まる リセール価格が明確なので、先の計画を立てやすい。
これらの特徴により、中所得者層を中心に「とりあえず残クレで」という人も増えています。
私もこのメリットを聞き、残クレで電気自動車を購入しました。

⚠️ 残価設定ローンのデメリット ― 資産形成の視点で見ると危険
しかし、実際に5年間の残クレ契約を結んだ私が今思うのは、資産形成を目指す教員家庭にとって、残クレは「負債を長期化させる仕組み」であるということです。
では、実際に利用した私が気づいたデメリットを整理してみます。
1. 支払う利息が高い
残クレでは、最終回に据え置く「残価」にも利息がかかります。
つまり、残価が高いほど利息払いが増える→総支払額も増えるのです。
月々の負担が軽く見えても、元本が減らず、総額が膨らむ構造になっており、残クレは消費者に不利なローンと言えます。

2. 制約が多く、自由に使えない
返却時には、車が以下の条件を満たしていなければなりません。
- 走行距離が基準以内(おおむね月1,000km以下)
- 内外装の傷・汚れが少ない
- 事故・修復歴がない
- 改造・競技使用なし
この条件を外れると、追加費用や減額査定を求められることもあります。
「傷をつけないように気を遣う」「走行距離を気にして遠出を控える」など、
心理的ストレスを抱えるケースも少なくありません。
また、通常のローンでは車の所有権は購入者にありますが、残クレの場合はクレジット会社やディーラーに所有権が帰属します。
つまり、月々の支払いをしていても、残価を支払い終えるまでは車は「自分の資産」ではないという点に注意が必要です。
残クレを利用して車を買い続ける限り「自分の車」は持てないということです。

3. 長期間乗る人には不向き
残クレは「数年ごとに乗り換える人」向けの商品です。
長く乗る予定の人や、通勤距離が長い人にはまったく向いていません。
途中で解約すると、高額な違約金が発生する場合もあります。つまり、乗る人を選ぶローンでもあります。
4. “無限ループ”に陥る危険
残クレで購入 → 返却 or 下取り → 新しい車を再び残クレで購入、という終わりのないループに陥る人が多いという事実もあります。
私はこのローンのデメリットに気づき、途中で残価も含めて繰上げ返済をしました。
「月々の支払額が同じだから安心」と思っていると、
一生ローンを払い続ける生活になってしまう危険があります。

🧮 残クレが教員家庭に不向きな理由
- 自治体によっては異動・転勤などで車を手放す可能性がある
- 共働きでも片方が退職・転職した際に返済負担が重くなる
- 給与の昇給カーブが緩やかなので、将来的な返済圧迫が大きい
- 定期的な車の買い替えが資産形成を妨げる最大要因になる
安定した収入を背景に「借りやすい」立場の教員だからこそ、残クレの罠にハマると“支出の固定化”という資産形成の敵になります。
🏦 賢い選択肢 ― 教員家庭が取るべき車の買い方
- 銀行系マイカーローンを比較検討する → ディーラーより低金利な場合が多く、総支払額を抑えられる。
- 中古車+現金購入を検討する → 金利ゼロ。価値の下落もゆるやか。
- カーシェアやリースを活用する → 固定費ではなく“使うときだけの変動費”に変えられる。

📘 まとめ ― 「月々が安い」は「最終的に高い」の典型
残価設定ローンは一見便利な制度ですが、
実際は「所有」ではなく「利用を続けるためのローン」です。
教員家庭にとって大切なのは、“車を持てる力”ではなく、“車に縛られない家計”を作ること。
私自身が残クレを利用した経験から、資産形成を進めたいのであれば、「新車・ローン・車両保険」という固定費の三点セットから距離を置くことが、大切で確実な第一歩だと思います。
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